宙に浮く「F2」後継機゙…開発経費計上は見送りの公算

基本方針が先決に

 2030年代に退役を迎える支援戦闘機「F2」の後継機問題に関心が高まっている。自民党の国防議員連盟は、20年度に開発経費を確保することを求める提言を安倍晋三首相に提出。ただ、F2後継機に求める性能の詳細や設計方針については、防衛省内でも考えがまとまっておらず、開発経費計上は20年度では見送られる公算が大きい。独自開発の「F1」が06年に退役してから10年余り。技能伝承の点から国産戦闘機を求める声は強いものの、実現のハードルは高い。

 「将来戦闘機に関し、日本は基礎的な力はすでに有している。ただ、それらを統合しまとめていくことは大きな挑戦」。岩屋毅防衛相は個別技術で日本企業がそれなりの水準にあることは認めつつ、システムとして戦闘機にまとめ上げる能力は別問題だと指摘する。

 国土が南北に長く、領海面積も広いわが国では、戦闘機には長い航続距離とレーダーの探知能力の高さ、ステルス性能などが求められる。ステルス性の高い機体開発は三菱重工業をはじめとするグループが16年に国産ステルス機「X2(通称心神)」の初飛行を完了、防衛装備庁で実証試験に入っている。エンジンもIHIが推力15トンの「XF9」を開発済みだ。

 他方で将来戦闘機の技術革新のスピードは急だ。23日に閉幕した「パリ国際航空ショー(パリエアショー)」でフランスがドイツ、スペインと3国共同で開発する次世代ステルス機のモックアップ(模型)を初公開した。

 同機は編隊レベルで相互にネットワーク化されたコンピューター飛行制御や、無人機の遠隔操縦機能を持つ。英国が18年開催の「ファンボロー国際航空ショー」で開発構想を示した将来戦闘機「テンペスト」も、複数無人機を搭載し遠隔操縦するとしたほか、レーザー兵器を搭載する。

 F2後継機はこうした海外の実情も考え、20年から30年間、運用できるシステムの柔軟性を兼ね備えなければならない。こうした設計能力は海外の方が優れているのが実情だ。

 防衛装備品は最先端技術の塊であるだけに産業の裾野は広く、中でも装備品の“頂点”とも言える戦闘機は関連企業は1000社近いと指摘される。現在の航空自衛隊戦闘機はほとんどが米国製。「F4」と「F15」は三菱重工が国内で部品を組み立てるノックダウン(KD)生産だったが、最新ステルス戦闘機「F35」はコスト削減を理由に、19年度調達から米国完成機輸入に変更。日本企業が技術を習得できる機会は著しく狭められた。これに加え、F2後継機も米国の戦闘機に決まるとなると、国産技術は壊滅的な打撃を受けると心配する企業は多い。

 米国はロシア製ミサイル導入を理由に、4月にF35の引き渡し凍結をトルコに通告している。他国製の輸入に頼る開発はこのように、いざというときに基幹技術を相手国に押さえられ、最新鋭機も役に立たなくされるリスクがある。一方で戦闘機の開発には多額の費用がかかり、国産にこだわれば必要な性能が出せないおそれもある。国際共同開発でも日本の主導的な立場をどう確保するか、防衛省は難しいかじ取りかじを迫られる。
(文=嶋田歩)

日刊工業新聞2019年6月25日

  

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