野村の主幹事外し相次ぐ、情報漏えい問題痛手

 経営立て直しを目指す野村ホールディングス(HD)に逆風が吹いている。国内外の事業体制の抜本的な見直しに動きだした矢先、東京証券取引所の市場再編をめぐって野村証券社員による情報漏えいが発覚。金融庁が両社に業務改善命令を出し、野村証券を社債発行などの主幹事から外す企業が相次いだ。市場からの信頼回復が急務で、再起への道のりは険しい。

 「法人関係情報に該当しない情報を管理する上で明確な規約がなかった」―。野村HDの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)は、厳しい表情で情報漏えいの原因をこう説明した。構造改革の出ばなをくじかれた思いだろう。

 東証の市場区分に関連して議論されていた時価総額の基準を投資家に漏らした今回の問題は、厳密には法令違反ではないが、金融庁は事態を重く見た。2012年の増資インサイダー問題に続いて業務改善命令を出し、両社は改善報告書を提出した。日本証券業協会の鈴木茂晴会長も「法律の意図していることに反している」と再発防止を求めた。

 情報漏えいを受けて市場では野村証券を敬遠する動きが広がっている。

 コマツなどが社債の主幹事から同社を外した。財務省も日本郵政株の第3次売り出しの主幹事に同社を選ばなかった。揺らいでいる信頼を取り戻さないと、業績回復のシナリオが狂う可能性がある。

 一方、4月に打ち出した構造改革に着手し、同社の156店舗のうち30店舗以上を減らす再編の第1弾として、関東や関西などの25店舗を8月から統廃合する。店舗のあり方を抜本的に見直して、顧客の要望と営業体制のミスマッチも解消する。

 法人部門(ホールセール部門)での欧州事業の縮小など、海外の事業体制も再構築する方針だが、情報漏えい問題による痛手は大きい。コンプライアンス(法令順守)や行動規範を徹底する企業風土を整えることが、巻き返しへの第一歩だ。

日刊工業新聞2019年6月14日

  

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