ニュースイッチ

石鹸は木箱入りの高級品だった―きれい好きな日本人を支えてきた花王を知る

花王ミュージアム
石鹸は木箱入りの高級品だった―きれい好きな日本人を支えてきた花王を知る

顔も洗えるほど高品質な「花王石鹸」は当時桐箱に詰められた高級品だった

楽しく学べるミュージアムを目指す―。花王はすみだ事業場内に「花王ミュージアム」を設置している。「清浄文化史ゾーン」「花王の歴史ゾーン」「コミュニケーションプラザ」で構成され、“清浄”の過去、現在、未来を学習できる。創業間もない頃に販売していた固形せっけんの再現品など、貴重な展示物も多い。小中高生の社会科見学のほか、社員教育にも使われる。

清浄文化史ゾーンには至るところにミニチュアサイズの模型が展示されている。歴史に興味がない見学者も見るだけで楽しめる。特に江戸時代の銭湯を再現した模型は、そのかわいさから人気が高いという。

またローマ時代のクリーニング工房を再現した模型は、ポンペイ考古監督局の協力で忠実に再現した貴重な展示品だ。引地聰館長は「当館で唯一、権利上撮影不可の模型だ」とその貴重さを語る。

一方、昭和の公団住宅の一室と昭和の大きな洗剤の箱を積んだ自転車は、実際のサイズで再現されている。当時の生活を垣間見ることができる。

同ミュージアムには古代から現在にいたるまでのせっけんや洗浄剤、オーラルケアグッズに関する資料が年代順に並んでいる。明治以降のゾーンは花王の歴史ゾーンを併設し、各時代に日本人がどんな暮らしをしていたか、その時代に花王がどんな製品を出していたかを同時に学べる。

引地館長は「当社は日本の清浄文化とともに成長してきた。社会課題を製品で解決してきた歴史を感じてほしい」と笑顔をみせる。

時代に合わせた、革新的な商品開発に挑んできたことが感じられる展示スペース


さらにコミュニケーションプラザでは、新製品など清浄文化の未来に触れられる。肌を拡大して見られるカメラや最適な歯ブラシを選べるタブレットなどで、遊べるゾーンだ。

130年以上、生活を支える日用品を作り続けている同社。歴代の製品を並べるだけでも生活の変遷がわかる。令和世代には新しく、昭和、平成世代には懐かしい日用品のミュージアムは、世代を超えて愛され続ける。

【メモ】▽開館時間=10時―11時半、14時―15時半▽入場料=無料(事前予約制)▽最寄り駅=東武亀戸線小村井駅▽住所=東京都墨田区文花2の1の3▽電話番号=03・5630・9004
日刊工業新聞2019年6月14日

編集部のおすすめ