精密モーターの実力企業が「ブランド改革」に込めた思い

シナノケンシが「ASPINA」を使用、スタートアップにも製品を!

 シナノケンシ(長野県上田市、金子元昭社長、0268・41・1800)は13日、コーポレートブランドを「ASPINA(アスピナ)」に決めたと発表した。ロボット、医療・福祉、高速通信の各分野の製品を対象に9月から同ブランドを展開して認知度を高める。モーター技術をベースに周辺機器を組み合わせたモジュールで「動き」に関するソリューションを世界展開する。

 新ブランドは、回転を意味するSPINの両側を品質の高さを示す「A」級の文字で囲んだ。既存顧客に加え、新規事業を立ち上げるスタートアップ企業や製品創出を目指す潜在顧客を開拓する。

 同社は搬送用など産業向けに小型精密モーターなどを製造し、国内ほか6カ国に拠点を展開。100周年を迎えた18年には駆動制御システムでロボット関連事業に参入した。

 ロボットハンド、自動化や行動アシストロボット分野で製品開発を進めている。さらに、コンプレッサーなどを使った医療・福祉機器、産業用飛行ロボット(ドローン)、高速通信分野におけるサーバーの冷却用途といった市場で需要開拓を目指している。
                    

日刊工業新聞2019年6月14日



ロボットの駆動制御、本格参入


 シナノケンシは21日、駆動制御システムでロボット関連事業に本格参入すると発表した。開発した軽量薄型サーボアクチュエーターシステムの受注活動を2018年3月に始めるほか、2年後には異型物を柔軟につかむ電動3爪ロボットハンドを製品化。得意とするモーターと制御の技術を一体化したシステム製品で事業展開を目指す。

 軽量薄型サーボアクチュエーターシステムは本体重量598グラム、厚さ46・5ミリメートル。定格トルクは8ニュートンメートルを確保し、パワーアシストスーツに組み込んでも作業の邪魔にならない。簡易無人搬送車(AGV)の移動精度を高めるなどの効果を期待している。対象の状態にあわせてきめ細かにトルク(電流)を制御。人が動かそうとする以上の力を出さないようにして安全性を確保する。

 開発中の電動3爪ロボットハンドは、サーボシステムの採用により対象物をつかむ際にモーターに流れる電流と回転の変化を察知。コントローラーが対象の大きさや柔らかさなどを判別し、つかむ力と速度を調整する。対象物は直径114ミリ―10ミリメートル。多品種少量の小物組み立てや食品・医薬品を選別する用途などを期待している。
開発中のロボットハンド

日刊工業新聞2017年11月22日


※内容は当時のもの

視覚障がい者に図書配信


 シナノケンシは、視覚障がい者用卓上型録音再生機「プレクストークポータブルレコーダーPTR3」を6月に発売する。障がい者向けに図書や雑誌をオンライン配信するサービスに対応しており、書籍を検索したり再生したりできる。価格は8万5000円。年2000台の販売を目指す。

 新機種は幅200ミリ×長さ245ミリ×高さ48ミリメートル、重量1・3キログラム。全国視覚障害者情報提供施設協会(大阪市西区)が運営する情報ネットワーク「サピエ」の配信サービスに対応する。

 パソコンを使うことなくインターネット経由でデジタル録音図書の国際標準「デイジー」に準拠した音声ベースで約7万冊の図書を無料で聞ける。さらに独自に録音したり編集したりできる。大音量スピーカー、テキスト文章を読み上げる機能も搭載している。

 従来の卓上型はサピエに対応していなかった。11年にサピエ対応の携帯型を商品化したが、利用者からはキーが大きく、大きな音量で使い勝手のいい卓上型を求める声が寄せられていたという。
視覚障がい者用に開発した卓上型録音再生機

日刊工業新聞2017年4月20日



3Dプリンターで素早く試作


 各種精密モーターをOA機器、自動車、産業機械など幅広い分野に供給しているシナノケンシ。2012年から、部品の試作で3Dプリンターを活用している。射出成形、切削など従来の試作法と比べ、新規設計した形状を素早く安価に具現化できることがメリット。ロボットや医療など新分野の開拓を図る同社にとって、心強い味方となっている。

 「当社は新たな分野の開拓が必要」と臼井弘明グローバル開発本部モータ技術センター長は、3Dプリンター導入の背景を説明する。OA機器・家電分野を主要販売先の一つとしてきたシナノケンシだが、用途によっては「ここ10年くらい行き詰まっているものもある」(臼井センター長)。このため、12年に新分野の開拓を本格的に開始。新規設計・試作の案件が、一挙に増えることになった。

 そこで着目したのが3Dプリンターだ。外注せずに短期間で試作品を製作可能。「夜間に造形すれば大抵翌日には出来上がる」(同)。造形対象の一例がモーターコアと巻線を絶縁するためのインシュレーター。線の巻き方を検証する上で試作品は重要な役割を担う。検証過程で設計変更が必要になっても、3Dプリンターならば円滑な対応が可能だ。

 利用するのは米3Dシステムズ製の「プロジェット3510HDMax」。インシュレーターのような精密な形状に対応できることや、運用支援を担うJBサービス(JBS、東京都新宿区)の手厚い保守メニューなどを理由に、機種を選定した。臼井センター長は「使用量が多いため、保守は非常に大事」と強調する。

 JBSの保守は、IoT(モノのインターネット)技術で遠隔地から3Dプリンターの状態を監視できるのが特徴。センサーで装置内の温度などを測定・収集し、主要部品が故障する時期を推定する。「大都市から離れている当社のような企業にとって、ありがたいサービス」と臼井センター長は微笑む。

日刊工業新聞2016年10月6日


※内容・肩書は当時のもの

ロボットも作る


 シナノケンシは、倒立2輪ロボット「プレッグ」の最新版を完成させた。複数のロボットの位置を赤外線センサーで認識しながら、衝突させずに複雑な経路を走行させることが可能。決められた経路を進む従来版の仕組みを改め、技術のアピール度を高めた。高度な倒立2輪走行を可能にする制御技術などを発信し、ロボット用モーターなどの販売拡大につなげる。

 プレッグは、同社がモーター関連技術を結集して開発したPR用ロボット。技術力を発信し、ロボット分野でモーターなどを拡販することが狙いだ。出力20ワット程度のDCブラシレスモーターを1台につき2個搭載する。

 最新版では、1メートル四方の囲いの中を2―4台が秒速10センチメートル程度で衝突せずに動き回る。従来は磁気で床面に設定された経路に沿い、ロボットが移動する方式だったが、今回はパソコン上でプログラミングされた経路を忠実に再現できるようにした。ロボットの天頂部のセンサーと、囲いの縁に複数設置された赤外線投光器の働きにより、各ロボットの位置をパソコンなどで常時監視できる。

 倒立2輪ロボットは角速度センサーで検知した本体の傾きを車輪の動作に反映させ、2輪でバランスをとりながら進む仕組み。一定の位置にとどまらせるのが難しいが、「プレッグは(揺れを極力抑え)静止状態にみせることができる」(FAビジネスユニット)という。

 同社はこうした高度な制御を実現するモーター関連技術を売り込み、ロボット分野での事業拡大を図る。

日刊工業新聞2016年10月5日


※内容・肩書は当時のもの

  

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