医療機器やロボの生産に貢献、世界最小級ギアの製造技術を確立した中小の技

精密部品の生産性向上とコスト低減に寄与

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入曽精密が切削加工で製造したギア(右側の黒い線は毛髪)
 中小企業による新たな製造技術の開発が相次ぐ。入曽精密(埼玉県入間市、斎藤清和社長、04・2934・4633)は、金属加工で直径1・22ミリメートル、歯数44個という世界最小級となるギアの製造技術を確立した。大阪冶金興業(大阪市東淀川区、寺内俊太郎社長、06・6328・1345)は、チタンアルミニウム合金の金属粉末射出成形(MIM)技術の確立を急ぐ。いずれの技術も精密部品の生産性向上とコスト低減に寄与する。

入曽精密、切削で1.22mm径ギア


 入曽精密は、切削による金属加工で世界最小級のギアの製造技術を確立した。一般のマシニングセンター(MC)に特殊な補助装置を付加することで、素材の真ちゅうから直径1・22ミリメートル、歯数44個のギアを製造した。これにより、医療機器やロボット、精密モーターなどに使う超微細部品をより低コストで生産できるようになる。
 
 微細な加工対象物(ワーク)を固定したり、移動させたりする特殊補助装置をMCに装着。主軸2本でワークを自動的に持ち替えながら6面を工具で削り、ギアに仕上げていく。加工時間は約50分で、近く40分以下にできる見通し。精度はプラスマイナス0・002ミリメートル。すでに実験レベルでは直径0・8ミリメートルのギア製造に成功。近く同0・3ミリメートルで歯数22個のギアの試作に挑戦する。

 「これまで超微細部品は射出成形などでしか作れなかったが、金型を使うので設計変更が難しい。切削加工ならギアの厚さや歯数をその場で臨機応変に対応できる」(斎藤社長)ため、少量多品種の製造に最適だと強調する。まずは研究開発機関や試作メーカーなどからの需要を見込む。

大阪冶金、航空機部品にMIM


 大阪冶金興業はチタンアルミニウム合金の金属粉末射出成形(MIM)技術を確立する。同合金は航空機用エンジンの低圧タービンブレードや医療機器など精密部品材料として期待される。MIM技術により、これら精密部品の低コスト製法を確立できれば、チタンアルミ合金の用途を大きく広げる可能性が高い。

 同社は内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)への参加を通して、三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市)や神戸製鋼所、東京工業大学、大阪大学と新技術を開発する。

 チタンアルミ合金は軽量ながら比強度と耐熱性に優れ、航空エンジン材料として注目を集める。ただ、加工が難しく、製造コストも高い。MIM技術を使えば低コスト製造に結びつく公算が大きい。
 
 SIPのプロジェクトではMIM技術を使った低圧タービンブレードを試作し、2022年度に強度成立性を確認する予定。

 大阪冶金興業は金属の熱加工を手がける。00年にチタンアルミ合金のMIM技術に関する論文を発表。MIMなどに使用する金属粉末のガスアトマイズ製造技術を持ち、材料の開発から金属加工までの一貫体制に強みを持つ。

日刊工業新聞2019年5月8日

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