アイリスオーヤマ「1兆円」へ海外工場拡大中、中国は10カ所目

天津に50億円投資

 アイリスオーヤマは5日、中国国内の電子商取引(EC)需要の拡大に対応し、中国・天津市に家電やプラスチック製生活用品の新工場を2021年12月に稼働すると発表した。投資額は約50億円。中国の生産拠点としては10拠点目。初年度に約50億円の売り上げを見込む。

 敷地面積は6万7312平方メートル、建物面積は4万6552平方メートル。北京市、天津市など中国北部向けの物流拠点としての役割も担い、2万1600パレットの収容能力を持つ自動倉庫を併設する。

 同社は22年12月期にグループ売上高1兆円を目指して海外展開と家電事業の強化を進めている。家電生産は大連工場(中国・大連市)、仁川工場(韓国・仁川広域市)、天津工場などの5工場体制となる。

日刊工業新聞2019年6月6日



<関連記事>
数少ない白熱電球メーカー、100余年の生産に幕


ロボットが大活躍


 アイリスオーヤマが海外事業を強化している。米国工場を現在の3拠点から2023年にも6拠点に増やすほか、中国と韓国でも家電製品の生産能力を増強する。22年12月期にグループ売上高1兆円を目指し、国内外で効率的な生産、物流体制を構築する。

 メーカーと卸の機能を併せ持った「メーカーベンダー」として、北は北海道から南は佐賀県まで、全国に八つの物流センター併設の工場を置く。「(物流の)サービスレベルは競合他社より一歩先んじている」と海外事業を統括する大山晃弘取締役(現社長)は優位性を説明する。電子商取引(EC)市場の拡大により物流効率化が課題になる中、海外でも物流と生産両面の強化に取り組む。

 特に工場新設に力を入れるのが、アマゾンを中心にECが増加する米国だ。アリゾナ、ウィスコンシン、テキサス州の3工場でプラスチック製の収納用品やペット用品を生産し、米国全域に配送している。

 大山取締役は米国の市場性について「新規的な商品に対してオープンな風潮がある。今後も挑戦したい」と語り、事業拡大に意欲を示す。第4の拠点として、米国内では初めて自動倉庫を併設したペンシルベニア工場を19年に竣工(しゅんこう)する。東海岸地域での物流効率化に加え、中国・大連市の基幹工場で生産した家電製品や発光ダイオード(LED)照明、調理用品などの物流センターとしての役割も担う。23年をめどに米国内を6拠点体制にする計画だ。

 同社の注力事業である家電製品も生産能力を増強する。17年に家電メーカーと電子部品のサプライヤーが集積する中国・広州に新工場を稼働した。18年内に稼働する韓国・仁川工場でも空気清浄機やサーキュレーターなどを生産する。「生産量は(工場規模の大きい)大連工場にメリットがある」とし、炊飯器などロット数の多いものは基幹工場の大連工場で生産を続ける。

 海外で工場新設を進めるにあたり、「品質の画一化は大きな課題」と大山取締役は話す。世界に工場が点在するプラスチック製品の生産には、ロボットが役立っている。導入当初は成形品の取り出しが中心だったが、今は組み立て、ネジ止め、溶着にまで適用範囲が広がっている。

 同社の稼働ロボット台数は約1000。ロボット技術者の確保が難しい欧米では、日本や中国の技術者がつくったマスターデータを横展開し、世界の工場で高品質な商品を生産する助けとしている。

 顧客の多い英国とECの盛んなドイツをオランダ、フランスに次ぐ市場として見定める。また、台湾での家電販売が好調なことから、気候の似た東南アジアへの展開も視野に入れる。海外展開のさらなる強化に向けてIoT(モノのインターネット)の導入を検討している。大山取締役は「世界規模でトラブルや生産性の改善を検討するところまで発展させたい」とする。
生産ラインでは国内外で1000台近いロボットが稼働する

(文=仙台・苦瓜朋子)
※内容は当時のもの

日刊工業新聞2018年4月18日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。