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鉄道から“バスの駅”へ。変わったこと、変わらないこと

「陸前高田駅」、街の中心部に移転も震災前の駅舎を再現
鉄道から“バスの駅”へ。変わったこと、変わらないこと

みどりの窓口と待合所を備え震災前の駅舎を再現

 東日本大震災の津波で被災した岩手、宮城県の沿岸地域。JR東日本は、両県を結ぶ大船渡線の一部区間で鉄道に代わる公共交通機関として2013年にバス高速輸送システム(BRT)の運行を開始。復興工事の進展とともに駅の新設、移設を進めており、陸前高田駅(岩手県陸前高田市)もその一つだ。

 同駅は震災前から市役所付近に立地していたが、市の要望を受けてかさ上げ工事により新たな中心地として整備が進む場所に移転した。運行ルートは、街づくりの観点から役所や病院、商店街、学校などの位置を踏まえて設定。同駅も17年に開業した大型複合施設「アバッセたかた」の至近にある。

 震災前の駅舎をモチーフとし、みどりの窓口と、木のぬくもりを感じられる待合室を設置した。「新しい街の中心に震災前のデザインの駅舎があることは、観光客だけでなく被災した市民にとっても大切だとする市の意見を反映した」とJR東日本盛岡支社広報担当者は説明する。

 平日に駅を発着する本数は上りが33本、下りが35本。震災前の鉄道運行時に比べて増便している。また、定時性確保のためにバス専用道の整備を進め、BRT区間の気仙沼(宮城県気仙沼市)―盛(岩手県大船渡市)では専用道が43%を占める。将来的には専用道の割合を約50%にまで引き上げる計画だ。

 赤を基調にしたBRTのデザインには「地域が元気になるように」との意味が込められている。運賃の支払いにはBRT専用ICカード「odeca(オデカ)」のほか、JR東日本が発行する「Suica(スイカ)」や、スイカと相互利用を行う他の交通系ICカードも利用できる。

 地元住民や首都圏などからの観光客の利便性を考え、「鉄道や2次交通との連携を深め、よりスムーズに移動できる輸送ネットワークの構築を目指す」と広報担当者は話す。

【概要】
JR大船渡線の駅。震災後はBRTが運行する。震災後のかさ上げ工事により新たな市内中心地となったエリアに位置する。18年度の1日の平均乗車人数は75人。
18年度の1日の平均乗車人数は75人
日刊工業新聞2019年6月6日

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