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NECが生体認証活用で覚書、子どもたちへのワクチン普及へ

海外機関と
 NECは6日、発展途上国の予防接種率向上のため、ガビワクチンアライアンス、英シムプリンツテクノロジー(ケンブリッジ)と生体認証活用に関する覚書を締結したと発表した(写真)。NECとシムプリンツが持つICTの技術を活用し、ガビの進める子どもたちへのワクチン普及を実現する。三者は連携して1―5歳の幼児向け指紋認証ソリューションの実用化を目指す。

 シムプリンツは、ケンブリッジ大学発の生体認証ベンチャー。同ソリューションは、NECの「幼児指紋認証エンジン」とシムプリンツの指紋スキャナーを活用する。スマートフォンのアプリケーションとして落とし込み、オフラインで認証ができる体制を構築する。2020年前半から1年間バングラデシュとタンザニアで実証実験を開始し、運用の流れを検証する。

 従来の抽出・照合エンジンでは幼児の指先が柔らかく、指紋が変形しやすいため画像が不鮮明になることが多かったという。

 ガビは00年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で設立した子どもの命や健康を守るのが目的の世界組織。ガビのンゴジ・オコンジョ・イウェアラ理事長は「新しい技術で子どもたちがいつワクチンの接種を受けたかわかる」と期待。NECの遠藤信博会長は「データを中心とした最先端のICTで安全・安心・効率・公平な社会の実現を目指す」と意気込んだ。
日刊工業新聞2019年6月7日

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