ダイハツの“切り札”、ベールを脱いだ「DNGA」の全貌

軽自動車や小型車の新しいプラットフォーム

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技術説明会で展示したアンダーボディー
 ダイハツ工業は6日、軽自動車や小型車の新しいプラットフォーム「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を公開し、2025年までに投入する全21車種に適用する方針を明らかにした。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)技術や新興国の生産にも対応し、車1台の生産コストを従来比1割弱削減する。トヨタ自動車グループで小型車と新興国事業を担うダイハツの“切り札”が姿を現した。(文=大阪・錦織承平)

 DNGAは国内向けの軽自動車から、新興国向け排気量1500ccクラスの小型車までに対応し、汎用ラインを使って国内外のさまざまな工場で生産できる汎用性の高さが特徴。個別の車種や地域ごとに車の設計や生産ラインをその都度変更しないでいいように、「(開発の)最初の段階ですべて考えて、一括して企画した」(松林淳取締役)という。

 部品共用化率は75%を超え、新型車の投入ペースは1・5倍に早まる。工場は汎用ラインを使うため、設備投資額を従来比3割削減できる。ダイハツの今後の車づくりにおける競争力の源泉となる。

 プラットフォームの構成要素となる車台、サスペンション、エンジン、変速機、シートのすべてを刷新した。車台は軽用、Aセグメント用、Bセグメント用を設定し、開発中の電動化車両にも対応。車の大きさが変わっても車台の構造や部品の位置を変えない“相似形”で車両開発できる。

 エンジンは日本初の複数回点火方式などを採用。変速機はベルトとギア駆動を組み合わせた世界初の「パワースプリット技術」による新しい無段変速機(CVT)を開発。パワー伝達効率と変速比幅を広げ、発進時の加速感や高速時の燃費を向上した。安全技術の搭載も増やし、エンジン室は電動化対応の設計とした。

 市場投入の第1弾は全面刷新する主力の軽「タント」。7月に発売し「需要に応じて滋賀工場(滋賀県竜王町)のほか、大分工場(大分県中津市)での生産も検討する」(同)。19年内に第2弾となる小型車の投入も決めた。25年までに21車種、15の車両ボディーに展開し、ダイハツが開発する車両の生産台数は18年比75万台増の約250万台を計画。うち約5割はトヨタ向けを想定する。

 ダイハツには低コスト・高効率に生産する「SSC(シンプル、スリム、コンパクト)」という基本思想があった。16年にトヨタの完全子会社となったことで、小型車と新興国という役割が明確になり、開発中だったプラットフォームにもその役割が加わった。DNGA投入で小型車、新興国という事業領域における自社の存在価値をより強固なものとしたい考えだ。

日刊工業新聞2019年6月7日

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