日銀調査で見えた、大手行と信金のIT活用戦略に違い

全国の金融機関(378先)を対象に実施

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金融機関への調査でIT・データ活用の目的・効果の違いが鮮明になった(日本銀行本店)
 日銀が全国の銀行、信用金庫など金融機関に実施した調査(対象378先)によると、新規顧客の開拓に向けた情報技術(IT)・データ活用の目的・効果で違いが鮮明になった。

 金融機関全体では、IT・データ活用した顧客開拓を最重視するとの回答が14・0%を占めた。このうち、「大手行等」は23・8%だったのに対し、信用金庫は11・9%にとどまり、目的・効果が異なる。

 「目的・効果」の最上位を集計すると、全体では「業務効率化、コスト削減、省人化」が最も多く35・7%を占めた。信用金庫では43・5%と全体を上回り、経費削減を目的としたIT・データ利用が進む一方、大手行等は14・3%と半分以下の水準と、戦略の違いが鮮明だ。日銀の金融機構局は「大手行等は新規顧客の開拓に積極的。地域金融機関、特に信用金庫でコスト削減を優先する傾向がある」と分析。

業務効率化、コスト削減・省人化では、ソフトウエアロボットによる業務自動化(RPA)、人工知能(AI)AI、クラウドサービスへの取り組みが多い。新規顧客の開拓ではスマートフォン・タブレット端末向けアプリケーション(応用ソフト)、オープンAPI(応用プログラムインターフェース)、AIが上位を占める。

大手行等はIT・データ活用で新規顧客の開拓にも取り組む。収集・蓄積したデータを「ある程度活用できている」と回答は大手行で5割弱。一方、地方銀行・信用金庫で3割程度と、地域金融機関において取り組み余地が大きい状況になっている。

顧客データの活用を阻害する要因は全体で人材やノウハウ不足が8割弱の占め、共通の問題を抱える。さらに、システムが未整備(65・4%)、顧客のデータの統合がされていない(52・4%)状況で課題もある。

日刊工業新聞2019年6月6日

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