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地銀再編のモデルケース、「長崎」に業界注目

地銀再編のモデルケース、「長崎」に業界注目
 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と長崎県の十八銀行が4月1日に経営統合する。基本合意から3年余り。同県佐世保市の親和銀行を傘下に置くFFGと十八銀の統合で県内シェアが高まることを懸念した公正取引委員会の審査が長引き、2回の延期を経た統合は大きな節目を迎える。

 4月1日、株式交換により十八銀はFFGの完全子会社になる。2020年10月には親和銀と十八銀が合併し十八親和銀行が発足予定。長崎県トップシェアの新たな銀行が誕生する。

 統合の基本合意は2016年2月だったが、以降の工程は順調とは言えなかった。長崎県内での寡占が生じる懸念を公取委が示し、審査が長引いた。17年1月に統合計画を半年延期。同年7月の2回目の延期では期限を設けられなかった。

 懸念の払拭(ふっしょく)にFFGと十八銀は、融資企業の借り換えを後押しするという苦渋の決断をする。融資シェアを下げることで公取委の承認を得るためだ。統合は取引先や借り換えを受け入れる他の金融機関も巻き込むことになった。

 地元では「グループ化で組織が複雑となり意思決定に時間がかかるようになるのではないか」(IT関連トップ)など心配する声も一部ではあったが、統合を理解、指示する声が経済界や首長から相次いだ。統合の背景にある人口減少など地域の課題への認識は地元も一致していた。

 今後、統合によりFFGは長崎でスケールメリットを生かした効率化を進め、取引先支援を強化する。クラウドサービスを活用した生産性向上の後押しやビジネスマッチング、海外展開や事業承継の支援などに力を入れていく。

 また地域経済の活性化のため長崎大学に起業家育成に向けた講座開設を計画、地域総合商社事業を検討している。

 統合目前に地元の期待も高まっており、プラントメーカー社長は「異業種企業の技術など、中小企業に役立つ情報を教えてほしい」と話す。

 地銀再編の新たなモデルケースとして注目された統合は、その後の取り組みに注目が移る。特に地元は単に強い銀行ではなく、頼りになる銀行を求めている。
(文=西部支社・関広樹)

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