販売先の廃業回避、山善が事業承継支援に乗り出す

3年間で100億円の投資枠を設定

 山善は得意先や仕入れ先の中小企業を対象に事業承継支援に乗り出す。2019年から3年間で100億円の投資枠を設定する。独立系ファンドとパートナー連携も結んだ。後継者難に悩む得意先企業などの株式を取得し、役員など幹部を派遣。経営管理やガバナンス(企業統治)を指南する。得意先の廃業や競合他社による買収リスクなどを回避することで、山善の持続的成長にも結びつける。山善と同様、バリュー・チェーン(価値連鎖)内で事業承継に取り組む動きが広がる可能性がある。

 山善は工作機械などの生産財のほかに、家具や家電製品などの消費財まで幅広く取り扱う。大手、中小を含めて仕入れ先は約4000社、仕入れた製品の販売先は約8000社にのぼる。事業承継支援の照準は約90%が中小となる販売先だ。

 「経営者が70代半ば過ぎや、子息が入社していないパターンなどがある。オーナー企業が多く、次期の経営者が育っていないこともある」(山善の高津雅彦営業企画部部長)。

 山善は事業承継支援に当たり、約3カ月間にわたり、相手企業の従業員に徹底的なヒアリングを実施。課題を抽出し、対応策を共に練る。その後、3カ月かけてアクションプランを立案。平均2年程度かけて実行する。年内をめどに1号案件に着手する予定だ。ただし、自ら仕掛けることはせず、「販売先から相談を受けた場合のみ対応する」(同)。

 金融機関との連携は想定せず、ファンドとの連携が中心になる見通し。事業承継の課題が解決すれば、山善とファンドが共同出資する予定の特別目的会社(SPC)に対象企業株式を譲渡するか、山善が完全子会社化する見通し。

 経済産業省によると、今後10年間に平均引退年齢の70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、半数の127万人が後継者未定という。現状を放置すると、廃業の急増により、25年頃までの10年間累計で約650万人の雇用が失われる可能性がある。

日刊工業新聞2019年6月6日

  

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