HISが銀行代理業に参入、旅行業と相乗効果狙う
旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は銀行代理業に参入する。自社と傘下のH.I.S.インパクトファイナンス(HISIF、東京都新宿区)、GMOあおぞらネット銀行の3社が包括的業務提携に向けた覚書を締結した。HISIFは今後、振り込みなどの手数料を無料にして顧客層を拡大。その上で旅行と関連する商材を展開し収益化を図る構想だ。(斎藤弘和)
「世界の銀行のあり方が変わってきている。その変化が日本でも2―3年後に入ってくる。海外から来る前に、我々が先に日本発で仕掛けていく」。HISIFの東小薗光輝社長はこう意気込む。
東小薗社長によると、欧米では「預け入れ、引き出し、振り込みといった基本的なバンキングサービスは全て無料にし、それとは別の付加価値をつけて収益化を図る事業者が出てきた」。例えばドイツ発祥のN26という銀行は、口座の残高を超える引き出しができる仕組みを提供し、超えた分にかかる金利を収益源にしているという。無料というきっかけがあることで、顧客層を広げやすいことが利点と考えられる。
HISIFは3月にGMOあおぞらネット銀を所属銀行とする銀行代理業の許可を受けており、同行の口座開設に係る勧誘を7月ごろから始める。将来は「顧客がネットバンキングをできるようなアプリの開発も進める」(東小薗社長)。このアプリを介して、GMOあおぞらネット銀のサービスを使えるようにする計画だ。口座維持や振り込み、ATM入出金の手数料は、個人向けは無料にするよう調整を進めている。
収益化に当たっては、HISの中核事業である旅行との相乗効果を模索する。HISIFの東小薗社長は具体例として、海外渡航時の両替や、現地ATMの手数料を提示。「“旅行お帰り払い”として、前払いではなく、帰ってきてからお金を払える」(同)との構想も披露した。
一方、GMOあおぞらネット銀の金子岳人会長は、HISIFとの協業を「第1弾」と位置付けた。今後、他の銀行代理業者に自社サービスを提供する可能性もある。金子会長は「多様な業種との展開を図る。一部の機能だけでも使いたい顧客もいる」とし、幅広く事業機会を追求する。
HISIFは初年度に2万口座を媒介し、5年で利用者100万人を確保する目標を掲げた。そのうち、手数料を伴うサービスを高い頻度で使ってくれる人はどれだけ現れるのか。
HISおよびGMOあおぞらネット銀との業務提携の実効性を高め、潜在的な顧客の需要に応えるための体制を早期に構築することが求められそうだ。
日本発仕掛ける
「世界の銀行のあり方が変わってきている。その変化が日本でも2―3年後に入ってくる。海外から来る前に、我々が先に日本発で仕掛けていく」。HISIFの東小薗光輝社長はこう意気込む。
東小薗社長によると、欧米では「預け入れ、引き出し、振り込みといった基本的なバンキングサービスは全て無料にし、それとは別の付加価値をつけて収益化を図る事業者が出てきた」。例えばドイツ発祥のN26という銀行は、口座の残高を超える引き出しができる仕組みを提供し、超えた分にかかる金利を収益源にしているという。無料というきっかけがあることで、顧客層を広げやすいことが利点と考えられる。
アプリ開発推進
HISIFは3月にGMOあおぞらネット銀を所属銀行とする銀行代理業の許可を受けており、同行の口座開設に係る勧誘を7月ごろから始める。将来は「顧客がネットバンキングをできるようなアプリの開発も進める」(東小薗社長)。このアプリを介して、GMOあおぞらネット銀のサービスを使えるようにする計画だ。口座維持や振り込み、ATM入出金の手数料は、個人向けは無料にするよう調整を進めている。
収益化に当たっては、HISの中核事業である旅行との相乗効果を模索する。HISIFの東小薗社長は具体例として、海外渡航時の両替や、現地ATMの手数料を提示。「“旅行お帰り払い”として、前払いではなく、帰ってきてからお金を払える」(同)との構想も披露した。
事業機会を追求
一方、GMOあおぞらネット銀の金子岳人会長は、HISIFとの協業を「第1弾」と位置付けた。今後、他の銀行代理業者に自社サービスを提供する可能性もある。金子会長は「多様な業種との展開を図る。一部の機能だけでも使いたい顧客もいる」とし、幅広く事業機会を追求する。
HISIFは初年度に2万口座を媒介し、5年で利用者100万人を確保する目標を掲げた。そのうち、手数料を伴うサービスを高い頻度で使ってくれる人はどれだけ現れるのか。
HISおよびGMOあおぞらネット銀との業務提携の実効性を高め、潜在的な顧客の需要に応えるための体制を早期に構築することが求められそうだ。
日刊工業新聞2019年6月5日