就活で企業が気にする「母親認知度」

 将を射んと欲すればまず馬を射よ―。目的を果たすためにその周辺から攻めるのは、古代の戦だけではない。企業の人材採用も同じだ。

 学生の就職活動のキーとなるのは母親というのはもはや常識。ある会合で一人の大学関係者が「お母さんが知らない会社には入らない―という学生が増えた」と嘆くと、数人が一様にうなずいたほどだ。

 伊予銀行は3月、保護者向け会社説明会を開いた。事業内容や福利厚生などを説明して、親に理解を深めてもらうのが狙い。1社だけでなく、同じ地域内の複数の企業を集めた説明会など、保護者の認知度を上げる取り組みは広がっている。

 「母親認知度」において、特に深刻なのは消費財を扱っていない企業だ。トヨタ自動車やソニー、サントリーといった人気企業と比べると、よほどでない限り母親認知度は最初から劣る。加えて部品や材料だと、事業内容を説明しにくいハンディもある。

 学生が企業の本当の姿を知ることは難しい。それでも企業はハンディを言い訳にすることなく、知ってもらう努力が必要だ。6月1日から名目上、新卒の採用面接が始まる。親にも子にも、そして企業にも良い出会いとなれば、日本の産業界の発展につながる。

日刊工業新聞2019年5月30日

  

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