最悪期脱するも…ファーウェイ・ショック直撃の東芝メモリは踏ん張りどころ

 東芝メモリホールディングス(HD)にファーウェイ・ショックが直撃する。米国による中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)への輸出禁止措置などで制裁包囲網が構築されつつあり、スマートフォン生産に注目が集まる。ただ、NAND型フラッシュメモリーの大口顧客としては、基幹ネットワークを構築する通信装置への影響の方が重大だ。東芝メモリHDが目指す2019年内の株式上場への踏ん張りどころだ。(編集委員・鈴木岳志)

主要供給先


 ファーウェイは東芝メモリにとって、NAND型フラッシュメモリーの主要供給先の1社だ。通常の取引を続けているが、トランプ政権が世界で旗を振る制裁強化の動きは確実に広がる。米国が神経をとがらせる安全保障リスクの観点で見れば、通信インフラを支える基幹装置への懸念はスマートフォンの比ではない。

 通信装置は半導体メモリーの搭載量がスマートフォンに対して多く、代替顧客を探すのも難しい。「通信装置で使う高性能サーバーの約7割はNAND型フラッシュメモリーが占める」(業界関係者)という。ファーウェイの競合はスウェーデンのエリクソンとフィンランドのノキアに限られ、新規開拓は一朝一夕にはいかない。

 一方、スマートフォン分野では東芝メモリにも挽回のチャンスがありそうだ。米グーグルと英半導体設計大手のアーム・ホールディングスの取引停止は、ファーウェイのスマートフォン生産に深刻なダメージを与える。

営業攻勢強める


 ただ「ファーウェイの高級機種は韓国・サムスン電子に、中級機種は同じ中国のOPPO(オッポ)とvivo(ビボ)に置き換わる」(同)との見方があり、東芝メモリも韓中スマートフォンメーカーへの営業攻勢を強める方針だ。

 東芝メモリHDは年内の株式上場へ準備を進める。メガバンク3行からの融資などで合計1兆3000億円の資金調達を決めた。米アップルなどの取引先が持つ優先株を買い戻し、上場審査を通りやすくする狙いがある。できる準備はしつつ、NAND型フラッシュメモリー市況の改善を待つ。

最悪期脱す


 「良くない状況は着実に変わって、データセンター向けの需要が戻ってきている」(同)と最悪期は脱したようだ。ただ、年内上場に向けて残された時間は少ない。

日刊工業新聞2019年6月5日

  

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