台湾総統選、米中摩擦、アップル依存…。シャープの戴会長兼社長が語る業績への影響

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シャープの戴会長兼社長
 シャープの戴正呉会長兼社長は、日刊工業新聞社などのインタビューに応じ、現在の4事業セグメントを再編し、IoT(モノのインターネット)家電などの「スマートビジネス」、テレビなどの「8Kエコシステム」、第5世代通信(5G)関連などの「ICT」の3セグメントにくくり直す方針を示した。液晶製品などハード主体の従来モデルからの転換を鮮明にする。会長職を続ける2022年3月期までに軌道に乗せる見通しだ。

困難な中計達成


―20年3月期までの中期経営計画の達成が困難な状況です。

「米中貿易摩擦の影響を読み切れなかった。特定メーカーとの取引割合が高く、景気変動の影響を受けやすい。今後は事業を3セグメントに再編し、事業変革を進める。プラットフォーム(基盤)やサービスを拡大し、『量から質へ』の展開を強化する。シャープの技術力をいかに商品化するかが大事。6月末の取締役会で正式決定する」

―親会社の台湾・鴻海精密工業の郭台銘会長が総統選への出馬を表明しました。影響は。

「私は鴻海の役員に戻るが、その任期と同じ3年後の22年3月期までシャープの会長を続ける。ただ、社長職については21年3月期には交代し、日本人に渡したい。共同CEO(最高経営責任者)への権限委譲などをさらに進めていく」

郭台銘会長


米中貿易摩擦にはビジネスチャンス


―米中貿易摩擦への対応策は。

「中国で生産する製品について、複合機をタイに、パソコンを台湾やベトナムに、ディスプレーをメキシコに、それぞれ生産移管を検討中だ。米中摩擦の影響で中国・華為技術(ファーウェイ)が苦戦しているが、その分、当社は(スマートフォン展開において)ビジネスチャンスを獲得できると考えている」

―北米テレビ事業の再参入を決めました。

「中国ハイセンスからブランドを取り戻した。シャープのブランドイメージを高めるとともに、大型8Kテレビを展開していく。小型テレビは考えていない。今後は、鴻海が米国ウィスコンシン州に建設中の液晶パネル工場も活用したい」

記者の目/親会社に振り回される構図


 現事業セグメントは、家電関連、オフィス機器関連、電子デバイス関連、液晶ディスプレー関連の4分野。今回示した構想は、サービス中心の事業モデルにシフトさせるのが狙い。念頭にあるのは米アップル向けビジネス依存からの脱却。ただ戴会長が鴻海の役員に戻ることで、親会社に振り回される構図は続きそうだ。(取材・園尾雅之)




日刊工業新聞2019年5月28日(エレクトロニクス)

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