シャープ社長「会長になって社長を育てる」 “ポスト戴"は鴻海出身者?

社長室は幹部に鴻海流の経営術を指導する教育の場に

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シャープの戴社長
 シャープは2016年8月に台湾・鴻海精密工業の子会社となった。鴻海グループ副総裁の戴正呉氏(66)はシャープ社長に就任すると自らに決裁権限を集中。コスト削減や鴻海と連携を進めて16年10月から3四半期連続の当期黒字を確保し、業績を急回復した。

 現在も戴社長は予算額300万円以上の決裁案件と社内ITシステムの投資は自ら決裁し、経営の細部まで掌握する。決裁案件は膨大な数だが「経営判断のスピードが上がり、それが浸透してきた」(野村勝明副社長〈60〉)。

 予算が小さい案件でも戴社長の決裁を仰ぐ幹部もいて、社長室は幹部に鴻海流の経営術を指導する教育の場にもなっている。

 6月の株主総会後、長谷川祥典専務(62)と沖津雅浩常務(60)が取締役から外れ、取締役会にシャープの生え抜きはいなくなった。取締役9人中、5人が鴻海出身者となり、鴻海の支配体制はより強固になった。

 買収前に80円台まで下がった株価は4―5倍の水準まで回復し、株主からは「戴社長に一日でも長くいてほしい」との声も上がる。

 業績回復と株主の信任を得た戴社長は、構造改革から事業拡大路線への移行を宣言。6月末、東京証券取引所に1部復帰を申請した。

 「1部復帰したら社長を辞めて台湾に帰る」と発言したこともある戴社長だが、最近は「(19年度までの)中期経営計画には責任を持つ。会長になって社長を育てる」と述べ、経営に関与し続ける意志を示している。

 戴社長は従業員の士気やブランド力を維持する狙いもあってか、「シャープは日本の会社」とたびたび強調し、次期社長も「日本人にしたい」としてきた。

 ただ、シャープ買収前にも郭台銘鴻海会長(66)が「日本人を社長にしたい」と発言したが、結果は違った。戴社長のように経営の細部まで掌握して幹部を統率できる日本人幹部は今のところ見当たらない。鴻海と連携を進める上でも、鴻海出身者が経営を指揮するのが妥当と言える。
                 

日刊工業新聞2017年9月19日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

資本の論理でいえば当然で、鴻海傘下である限りCEOは鴻海からでしょう。

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