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抗菌性あるボトル容器を実現する「竹粉」の効果

ユニオン産業が製造法確立
抗菌性あるボトル容器を実現する「竹粉」の効果

竹粉を含む樹脂材料を使ったボトル。試作品(左2本)は肉厚が安定せず5年の開発期間で完成(右3本)

 ユニオン産業(川崎市中原区、森川真彦社長、044・755・1107)は、竹を細かく粉砕した「竹粉」を含む有機物を配合したボトル容器用の樹脂材料を開発した。ブロー成形に使えるよう、軟質のポリプロピレン(PP)を混ぜて容器の厚みが安定するようにした。独自開発の抗菌樹脂「ユニペレ」の製造方法を応用し、腸管出血性大腸菌(O157)などの増殖を抑制する抗菌作用を備えた。月間5トンの生産規模を目指し、営業活動を進める。

 有機物を材料として環境負荷が低く、抗菌性がある点を訴求する。既にオーストラリアの化粧品メーカー2社から問い合わせがきており、化粧品ボトルの試作やクリーム向けチューブ容器の試作用材料を提供している。このほか医療関連用品や日用品、調味料などを扱うメーカーへの販売を目指す。材料の価格は個別見積もり。国外向けには1ロット2トン、国内向けには同300キログラム単位からの供給を見込む。

 材料は有機物を含むため、ブロー成形の際に分離したり成分が偏ったりして容器の肉厚を安定させるのが難しかった。

 そこで軟質のPPを配合し、材料中の成分の均質化に成功した。複数種類の有機物やPPの配合率を調整しながら試作を重ね、5年をかけて完成にこぎつけた。

 材料は竹粉を含む有機物を半分以上の割合で含むユニペレを基にしたものを使っており、廃棄時の二酸化炭素(CO2)排出量削減にも配慮した。O157などに対する抗菌性については、カケンテストセンター(東京都中央区)に委託した試験で実証済み。抗菌効果は使用状況により3―5年程度持続する。
日刊工業新聞2019年5月25日

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