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左官業者が開発した建築用素材、想像を超えた使われ方

神垣組の「ユメハナ」、意匠性が高く飲食店の壁材にも
左官業者が開発した建築用素材、想像を超えた使われ方

「ユメハナ」は意匠性が高く畳の目も再現できる

 神垣組(福岡市西区、神垣三次社長)が自社製品の建材用素材「ユメハナ」の普及を目指している。ユメハナは原料の粒子が細かいため、成型後の製品は意匠性が高いことなどが特徴。炭を加えて水質浄化能力を持たせられるなどの機能面も売り込む。

 同社は、左官工事業者。建築物の内外装で同工事に代わって採用される建材が普及するのに伴い、新たな事業を育てようと取り組んでいる。

 ユメハナは樹脂製の型で成型して模様を再現しやすく、畳では色を含め、本物同様の見た目になる。表面を滑らかにもできる。焼成は不要なため発泡スチロールなど多様な材料と組み合わせやすい。

 機能面では炭などを混ぜ込み、その機能が発揮できるという。水質浄化材の製品化も見込む。廃ガラスなど産業廃棄物を利用して削減に貢献することが可能だ。

 水に強く強度が高いことから内外装に使える。木製の橋を支える柱の表面に使われた実績もある。水に沈むことがある部分で外観は木材となっている。

 現在、製品として特に期待しているのが畳製品。飲食店の壁材に採用された際は「想像しなかった使い方」(神垣社長)と驚き、使い道の広がりを感じた。外国人観光客に日本らしさを感じさせるベンチなどへの採用を見込む。

 将来は建材そのものよりも建材の素材供給を主力事業にしたいとし、製品化技術を指導していく考えだ。
(文=西部支社・関広樹)

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