メニコン社長が考える市場で勝ち残る製品の生み出し方
田中英成社長が主張
世の中には大量生産ばかりに気を取られ、個々の価値を軽視する商品が多すぎると感じている。メーカーは現在のニーズを追い求めるのではなく、新たな価値を消費者に提案し、ライフスタイルを変える商品を開発していかなくてはならない。今まで気がつかなかったところに隠れている付加価値を見つけられるかどうかが、市場での生き残りに直結する。世の中にある“間違った常識”を発見することが新たな商品開発や市場開拓につながる。
従来、コンタクトレンズは、製造上の理由から内面に指先で触れなければパッケージから取り出せず、装着できなかった。消費者も医者もそれが当たり前だと思っていたが、その当たり前を「スマートタッチ」という技術を開発して覆し、新たな価値を生み出すことができた。
夢をクリエートするのがモノづくりだ。他社製品とどうやって差別化するかを考えたとき、新たな価値を提案して真にユーザー・ファーストを実現できる企業や製品が市場で勝ち残る。現状の顧客ニーズに迎合する商品開発をするところは淘汰(とうた)されていくだろう。
日本は人件費・土地・税金のいずれも高く、どうしても製造コストが上がる。大量生産や低コスト生産を日本でやるのは無理だ。働き方改革や賃金上昇で豊かな暮らしを守っていかなければならないが、全てを一度に実現しようとしてはどう考えても議論がまとまらない。何を犠牲にするかをきちんと議論しないままでは、本当の意味での民主主義にはならない。
現代社会にそぐわない、昭和の時代から変わっていない法律もある。日本人のライフスタイルが将来どうなるかを予測して考えていけば、もっとクリエーティブな立法や行政ができる。日本人はそうしたクリエーティブな変化に対して前向きになるべきだ。将来の日本や子どもたち、人類のためという視点で、変えるべきものをどんどん変えていこうと議論し合うことがもっと世の中を良くする。
しかし、今は反対意見が炎上してしまう時代だ。賛成・反対の立場とは別に「一つの仮説として、こういう考えもあるのではないか」という言い方でも炎上してしまっては、何も発言できなくなってしまう。必要なことを言うべき時に言って、真剣に議論することのできる土壌や環境を、メディアや行政も含めた社会全体で作らなくてはならない。
技術力で夢を形に
従来、コンタクトレンズは、製造上の理由から内面に指先で触れなければパッケージから取り出せず、装着できなかった。消費者も医者もそれが当たり前だと思っていたが、その当たり前を「スマートタッチ」という技術を開発して覆し、新たな価値を生み出すことができた。
夢をクリエートするのがモノづくりだ。他社製品とどうやって差別化するかを考えたとき、新たな価値を提案して真にユーザー・ファーストを実現できる企業や製品が市場で勝ち残る。現状の顧客ニーズに迎合する商品開発をするところは淘汰(とうた)されていくだろう。
日本は人件費・土地・税金のいずれも高く、どうしても製造コストが上がる。大量生産や低コスト生産を日本でやるのは無理だ。働き方改革や賃金上昇で豊かな暮らしを守っていかなければならないが、全てを一度に実現しようとしてはどう考えても議論がまとまらない。何を犠牲にするかをきちんと議論しないままでは、本当の意味での民主主義にはならない。
将来見据えて変化
現代社会にそぐわない、昭和の時代から変わっていない法律もある。日本人のライフスタイルが将来どうなるかを予測して考えていけば、もっとクリエーティブな立法や行政ができる。日本人はそうしたクリエーティブな変化に対して前向きになるべきだ。将来の日本や子どもたち、人類のためという視点で、変えるべきものをどんどん変えていこうと議論し合うことがもっと世の中を良くする。
しかし、今は反対意見が炎上してしまう時代だ。賛成・反対の立場とは別に「一つの仮説として、こういう考えもあるのではないか」という言い方でも炎上してしまっては、何も発言できなくなってしまう。必要なことを言うべき時に言って、真剣に議論することのできる土壌や環境を、メディアや行政も含めた社会全体で作らなくてはならない。
【略歴】たなか・ひでなり 87年(昭62)愛知医大卒、同年メニコン入社。94年取締役、98年常務、99年副社長、00年社長、10年代表執行役社長(現職)。愛知県出身、59歳。
日刊工業新聞2019年5月27日