40代超の心掴んだ国内初のコンタクトレンズ、誕生の裏に「データ分析」あり
メニコン、乱視・遠近両用が販売好調
メニコンの乱視用・遠近両用の機能を併せ持つ、国内初のソフトコンタクトレンズ「2ウィーク メニコンプレミオ 遠近両用トーリック」が販売好調だ。これまでは、どちらかの症状を我慢してコンタクトレンズを使うか、その使用自体をやめてしまう顧客も多かったという。吉村良祐ブランド戦略&市場調査部長に開発の背景や今後の方針を聞いた。
―2018年12月の発売から2カ月がたちました。
「こちらの予想以上に反響が大きく、数店舗でしか扱っていなかった発売1カ月の売り上げは、全店舗で扱った時を想定した4カ月間の計画の6割に達した。ここまで垂直的に売り上げが伸びた商品は珍しく、需要の大きさを実感している。発売当初は2023年までに年間2億円という販売目標を掲げたが、上方修正も検討している」
―開発のきっかけは。
「当社の定額制サービス『メルスプラン』の会員データを分析する中で、40代以上になると退会率が上がっていることが分かった。原因は、老眼の症状が現れる40代以降の乱視の方に、コンタクトレンズ使用を諦めてしまう人が多いことだった。そこで遠近両用と乱視用を兼ね備えた商品の需要を把握した。当社には会員130万人分のビッグデータがあり、需要を正確につかめるため、まったく新しい商品も自信を持って投入できた。コンタクトレンズユーザーの装用年数を、さらに伸ばしてもらえる商品だ」
―販売戦略は。
「もっと多くの人に知ってもらえるように、従来は当社があまり取引のなかったコンタクトレンズ専門販売店でも4月から販売を始める。また来店のきっかけをつくるため、バナー広告も積極的に活用する。大きな効果を期待している」
―今後の開発方針は。
「今回の遠近両用トーリックに限らず、高齢者需要を捉えることは重要テーマだ。人口減少が進む国内市場で勝ち残るには、これまでコンタクトレンズを使ってこなかった顧客の獲得が必要となる。そのためレンズのデザインなど、さまざまな角度から検討を加え、よりユーザーから求められる商品の開発を行っていく」
【チェックポイント/老眼世代に訴求、会員拡大なるか】
メニコンによると、国内のコンタクトレンズ装用者のうち40代以上は45%を占めるが、遠近両用の使用者は8%弱。老眼の見えづらさを我慢しながら、通常の近視用を使用しているユーザーは多い。メルスプランの2週間交換型ソフトコンタクトレンズ会員のうち、乱視用使用者は約30%に上る。遠近両用を兼ね備えたことで、年齢によるコンタクトレンズ“卒業”の阻止を図る。人口減少の中で、会員を伸ばし続けられるか。その試金石となる商品だ。
(文=名古屋・中島佑馬)
―2018年12月の発売から2カ月がたちました。
「こちらの予想以上に反響が大きく、数店舗でしか扱っていなかった発売1カ月の売り上げは、全店舗で扱った時を想定した4カ月間の計画の6割に達した。ここまで垂直的に売り上げが伸びた商品は珍しく、需要の大きさを実感している。発売当初は2023年までに年間2億円という販売目標を掲げたが、上方修正も検討している」
―開発のきっかけは。
「当社の定額制サービス『メルスプラン』の会員データを分析する中で、40代以上になると退会率が上がっていることが分かった。原因は、老眼の症状が現れる40代以降の乱視の方に、コンタクトレンズ使用を諦めてしまう人が多いことだった。そこで遠近両用と乱視用を兼ね備えた商品の需要を把握した。当社には会員130万人分のビッグデータがあり、需要を正確につかめるため、まったく新しい商品も自信を持って投入できた。コンタクトレンズユーザーの装用年数を、さらに伸ばしてもらえる商品だ」
―販売戦略は。
「もっと多くの人に知ってもらえるように、従来は当社があまり取引のなかったコンタクトレンズ専門販売店でも4月から販売を始める。また来店のきっかけをつくるため、バナー広告も積極的に活用する。大きな効果を期待している」
―今後の開発方針は。
「今回の遠近両用トーリックに限らず、高齢者需要を捉えることは重要テーマだ。人口減少が進む国内市場で勝ち残るには、これまでコンタクトレンズを使ってこなかった顧客の獲得が必要となる。そのためレンズのデザインなど、さまざまな角度から検討を加え、よりユーザーから求められる商品の開発を行っていく」
【チェックポイント/老眼世代に訴求、会員拡大なるか】
メニコンによると、国内のコンタクトレンズ装用者のうち40代以上は45%を占めるが、遠近両用の使用者は8%弱。老眼の見えづらさを我慢しながら、通常の近視用を使用しているユーザーは多い。メルスプランの2週間交換型ソフトコンタクトレンズ会員のうち、乱視用使用者は約30%に上る。遠近両用を兼ね備えたことで、年齢によるコンタクトレンズ“卒業”の阻止を図る。人口減少の中で、会員を伸ばし続けられるか。その試金石となる商品だ。
(文=名古屋・中島佑馬)
日刊工業新聞2019年3月19日