ボルトが足りない!混乱する市場沈静化に国交省が動き出す

九つの建設業界団体に契約適正化を要請

 国土交通省は建築現場で使用する高力ボルトの市場混乱を抑制するため、九つの建設業界団体に対し契約適正化の要請を行った。商社からボルトメーカーへの「発注書」のひな型を国交省が作成し、これに基づいた取引を徹底するよう求める異例の取り組みだ。

 発注書には工事の日時や納入場所の記入を求める。実需に応じた注文に限定させるのが狙い。メーカーは水増し発注分の見込み増産が避けられる。需給を正確に把握し業界全体の沈静化を図る。

 2018年夏以降、東京五輪・パラリンピックの関連工事や西日本豪雨後の復旧工事の影響でボルトの供給不足が懸念されている。このためゼネコンなどは先行発注や重複発注、水増し発注を行いその結果、需給バランスが崩れ、価格も上昇傾向にある。ただ「実需の伸びは2―3%であり、説明できない」(国交省労働資材対策室)状況だ。

 国交省は18年10月に供給側と需要側の企業に需給調査を行い、両方の業界団体に正常化を要請した。それでも改善しないことから19年3月にも調査を実施。納期がさらに2カ月伸びて8カ月になるなど悪化しており、回答企業の94%が工事への影響があると回答した。この間のボルトの値上がり幅は1―2割だが「現場では2倍になったケースも聞いている」(同)とする。

 市場が混乱する背景には人手不足も指摘される。型枠工や鉄筋工の不足からビルの構造自体を鉄筋コンクリート造から鉄骨造に変更したり、鉄骨造のビルでも溶接工不足から溶接ではなくボルト締めに工法変更したりするケースもある。これらの状況が重なり、ボルトが不足するのではとの思惑が独り歩きしている。

日刊工業新聞2019年5月20日(政治・経済)

  

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