100万種の動植物が絶滅?!生物多様性の危機に警鐘 

IPBESが報告書を公表

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IPBES報告会で出席者の質問に答える科学者
 世界の科学者が100万種の動植物が絶滅の危機に直面しているとの報告書を公表した。大胆な社会変革がなければ自然からの恵みが減少し、企業活動にも影響が出ると警鐘を鳴らした。2020年には生物多様性保全の新たな世界目標が決まる。生態系保全と企業活動の両立をめぐる議論が熱を帯びそうだ。

 科学的知見から生態系を評価する「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学―政策プラットフォーム」(IPBES)が、地球規模の生物多様性の将来予測の報告書を初めてまとめた。50カ国145人の専門家が16年、執筆を開始。IPBESが5月上旬、フランスで総会を開き報告書を承認した。

IPBESのポイント

 報告書によると800万種の動植物のうち、100万種が絶滅の危機にある。プラスチックゴミによる海洋汚染では267種が悪影響を受けているとした。大気質、気候、災害の調整、医薬品への利用といった「自然がもたらすもの」の多くが減少傾向にあり、企業活動が制約される可能性がある。

 環境省は14日、東京都内で執筆者らによる報告会を開いた。名古屋大学の香坂玲教授は、ミツバチなど花粉媒介生物の減少で年5770億ドル相当の農産物生産が減るとの予測が書き込まれたことに着目。「欧州では農薬への視線が厳しく、ミツバチのような昆虫に関心が向いている。そうした動向を企業には頭に置いてほしい」と忠告した。報告書を受け、海外で規制が強化される可能性がある。

「愛知目標」ほぼ未達


 国連の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が10年、名古屋市で開かれ、生物を守る世界目標の「愛知目標」を採択した。「自然生息地の損失速度を半減し、ゼロに近づける」など20の個別目標を定めたが、期限の20年までにほとんどが未達に終わりそう。持続可能な開発目標(SDGs)の自然保護にかかわる目標は愛知目標をベースにしており、SDGs達成にも赤信号がともった。

 20年に中国で開くCOP15で新たな世界目標を決めるが、国際交渉は前哨戦が始まっている。18年にエジプトで開かれたCOP14の閣僚級会議では、あらゆる活動に生物多様性保全を組み込む「主流化」を企業に要請する宣言文ができた。5月上旬のフランスでの先進7カ国(G7)環境相会合では取り組み強化を求める「生物多様性憲章」が採択された。IPBESの報告書を受け、“ポスト愛知目標”は企業への要求を増やすだろう。日本企業は国際的な動向を見て生態系保全の取り組みを再点検し、強化する必要がある。

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