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東芝メモリ、1―3月期は284億円の営業赤字。上場見直しの可能性も

東芝メモリ、1―3月期は284億円の営業赤字。上場見直しの可能性も

東芝メモリの四日市工場

 東芝メモリホールディングスの2019年1―3月期連結決算(国際会計基準)は、営業損益が284億円の赤字(18年10−12月期は540億円の黒字)となった。18年後半からのNAND型フラッシュメモリー価格下落が響いた。米ベインキャピタル中心の日米韓企業連合による買収関連ののれん償却負担増で261億円のマイナス要因も発生した。

 1―3月期の当期損益も193億円の赤字(同299億円の黒字)だった。のれん償却負担増加は、東芝メモリの資産を18年6月の買収後に再度精査したところ、償却すべき資産が当初想定より多かったため。19年内の株式上場を目指しているが、半導体市況の回復次第では、新規株式公開計画の見直しを迫られる可能性がある。

 19年3月期(旧東芝メモリを含む)の売上高は前期比2・8%増の1兆2639億円だった。のれん償却負担増により、営業利益は同74・5%減の1163億円、当期利益が同91・6%減の605億円に落ち込んだ。

日刊工業新聞2019年5月15日



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銀行から1兆円借り入れ


 東芝メモリホールディングスが、早ければ10月にも株式上場を果たす可能性が出てきた。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行から計1兆円規模を借り入れる方向で調整に入った上に、東芝メモリが主力とするNAND型フラッシュメモリーも一部で市況に下げ止まり感がみられ、企業業績を後押しする材料になるとみられるためだ。

 東芝メモリは2019年度中の新規株式公開(IPO)を目指している。ただ、19年度中に上場ができなければ、銀行団から返済を求められかねない契約条件が付いているもようで、少しでも早く上場を果たす必要がある。

 また、取引先が株式を持っていると上場審査に不利とされていることから、調達資金で米アップルなどの取引先が持つ優先株を買い戻し、財務上の不安定要素を減らし、審査をスムーズにさせ、早期の上場を目指す。

日刊工業新聞2019年4月5日



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