「ゴーン事件が事業結果に…」(西川社長)、日産“利益下落”止まらず

今期は約3割りの営業減益に、米国の収益力悪化が響く

 日産自動車は14日、2020年3月期連結決算の営業利益が、前期比27・7%減の2300億円になるとの見通しを発表した。リーマン・ショック時の09年3月期で営業赤字を計上して以来の低水準。元会長のカルロス・ゴーン被告が逮捕されて以来初となる通期決算の会見で、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は「事件が直接、間接的に事業結果に表れてしまった」と述べ、業績低迷を陳謝した。

 中国がけん引し世界販売台数は同0・4%増の554万台と増加を見込むが、米国の収益力悪化が響く。為替や環境規制対応のほか、原材料価格の高騰も利益を押し下げる。西川社長は、「販売側の未達をコストの改善で補ってきたが少し限界に来ている」とも述べた。

 19年3月期の営業利益は同44・6%減の3182億円だった。営業減益は3年連続。米国での一部車両の保証期間の延長により費用が膨らんだ。売上高は同3・2%減の11兆5742億円で2年ぶりの減収となった。

「今は底。長くても3年で元に戻したい」


 日産自動車は14日、2023年3月期を最終年度とする6カ年の中期経営計画の見直しを発表した。目標数値を下方修正したほか、23年3月期以降の成長を見据え、米国事業の立て直しや投資効率の適正化など事業改革を打ち出した。23年3月期までに、改革により営業利益ベースで3000億円、新型車の投入により2000億円の増加を想定する。

 同日会見した西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は「今は底。長くても3年で元の日産に戻したい」と話した。最重要課題は米国事業の立て直しだ。前会長カルロス・ゴーン被告の経営戦略の「負の遺産」(西川社長)の一つ。過度な販売拡大戦略で収益性が悪化しブランド力も下がった。今後の改革では法人フリート(大口顧客)を減らすほか、インセンティブ(販売奨励金)抑制を徹底する。ブランド回復などには「時間がかかるが、覚悟して地道にやる」(西川社長)。18―19年度は1―2%だった米国事業の営業利益率は22年度に5%程度を目指す。

 また、「(リストラなどの)外科的手術は早期に実行する」(西川社長)と事業や投資効率化の適正化も進める。バルセロナ工場の適正化や欧州事業の最適化を実施し、生産効率10%の向上と余剰生産能力の10%を縮小する。効果は年間で300億円を見込む。

 仏ルノーとの資本関係見直しについては同社会長のジャンドミニク・スナール氏と「オープンな姿勢でいろいろ議論しており、スナール氏の経営統合を良しとする考えは認識している」と明かす一方で、「今は見直し議論をする時期ではないという考えで一致している。日産の業績改善が最優先でスナール氏にもサポートしてもらう」と説明した。


 

日刊工業新聞2019年5月15日(自動車)

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。