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海外から注文殺到、爪切り製造会社が発売した「カトラリー」の追求

職人が手作り
海外から注文殺到、爪切り製造会社が発売した「カトラリー」の追求

諏訪田製作所のステーキ専用フォークとナイフのセット(台座付き)

 ニッパー形の爪切りなどを製造販売する諏訪田製作所(新潟県三条市、小林知行社長、0256・45・6111)は、「ステーキ専用のフォークとナイフのセット」を発売した。同社にとって、カトラリーの発売は初めて。フォーク、ナイフともに同じ鋼材とコンセプトで開発し、製造。予約受け付け中で海外からの注文が殺到している。

 同セットは2万9160円(消費税込み)と、決して安くはない。爪切りと同じく、一つずつ職人が鍛造で手作りしているためだ。ナイフとフォークをハの字のように交差させると、同社製爪切りのハンドルに似せた。柄の部分がカーブしているため、手のひらにフィットする。フォーク、ナイフともに一体成型し、適度に厚みを持たせて刺しやすさと切りやすさを追求した。

 「高級店の中には前菜、主菜に合わせてナイフを交換してくれる店がある。でもフォークは変わらず、バランスが悪いと感じることがあった。でもフォークを変える文化がないなら、我々で作ろうと考えた」。小林社長は開発のきっかけをこのように話す。富士経済によると、国内のステーキ業態は牛肉人気などから新規出店が続き、2018年の市場規模は前年比9・4%増の3685億円の見込み。19年も伸びが予想される。そのためステーキ専用セットを考案した。

 フォークは刺すものだが、ナイフは切るもの。材料も異なるのが一般的だ。だが「違うままでは違和感はぬぐえない」(小林社長)とこだわった。フォークも鍛造で作り、手作業で削り込む。爪切りづくりで培ったノウハウを盛り込んだ。

 「今後、肉食の文化はもっと専門化されてくるはずだ」と小林社長は先を読む。ステーキフォークとナイフのセットを皮切りに、さらなる製品開発を進めていく考えだ。
(文=山田諒)
日刊工業新聞2019年5月4日

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