キリンHD社長が語る、不確実な時代に成長するための羅針盤

キリンHD・社長・磯崎功典氏/連載「挑戦する企業」より

 ―2015年のキリンホールディングス(HD)社長就任当時に、グループの課題をどう考えましたか。
 「それ以前はキリンビール社長を務めていて、“戦っていない”と思えた社員の意識改革を進めたところで、HD社長になった。大きな減損処理を行ったブラジルキリンの問題もあり株価は低迷し、買収リスクまで指摘されたこともあった。ゼロまたはマイナスからのスタートと感じた。16年度からの中期経営計画で立て直さなければと本気で取り組んだ」

 ―16―18年度中計では構造改革を前面に打ち出しました。
 「最大の課題だった低収益事業について、『再生と再編』をテーマに中計ではっきりさせることにした。再生の努力をするが、できなければポートフォリオから外す。一方で金看板であるビール事業の基盤強化と、将来の成長ドライブとなる医薬事業の飛躍的な成長を目指した」

 ―これまでに事業の再編を断行しました。
 「ブラジルキリンは経営トップを交代しテコ入れを図った。黒字化が見えてきたところだった。ただ先行きグループにどれだけ利益で貢献できるのか、その分の経営資源を他に振り向けるべきではないかという判断があり売却を決めた。豪ライオン飲料の売却を決めたのも同様だ」

 ―CSV(共有価値の創造)を経営の根幹に位置付けた狙いは。
 「CSR(企業の社会的責任)からCSVに移行したわけではない。CSVはCSRとは全く異質なものだ。社会の課題に自らのビジネスを使って成長のドライブにする。CSVなくして持続的に成長する経営ができないということ。今の不透明で不確実な時代に成長を遂げるための羅針盤になる。健康・地域社会・環境をテーマとして社会課題の中からビジネスチャンスを確立する」

 ―CSVではプラズマ乳酸菌事業が立ち上がっています。
 「CSVで最有力候補。少子高齢化で今後もシニア層が増える。医薬と違い、病気にならないようにケアをするビジネスが『未病の領域』。免疫学の研究から生まれたプラズマ乳酸菌で課題解決を進める。時間をかけても着実に伸ばす」

(連載「挑戦する企業 キリンホールディングス」は編集委員・井上雅太郎、斎藤弘和が担当しました)

日刊工業新聞2018年12月26日掲載

梶原 洵子

梶原 洵子
12月26日
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日刊工業新聞電子版では、キリンHDの連載「挑戦する企業」全16回を掲載しています。あわせてご覧下さい。

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