天国から代表を見守る!ミスターラグビー「平尾誠二」最後のインタビュー

「役割の自覚を問うのはリーダーの責務」(平尾氏)

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元ラグビー日本代表監督 平尾誠二氏
 ラグビー日本代表の主将として活躍し、代表監督も務めた平尾誠二さんが亡くなって3年。日刊工業新聞では2015年8月に「個」と「組織」のあり方についてインタビューした。サモアを下し3連勝の日本代表。史上初の決勝トーナメント進出に期待し記事を再掲載します。

 ラグビーでの輝かしい経歴を生かし、組織論やリーダー論の著書を多く持つ元ラグビー日本代表監督の平尾誠二氏に、”異業種“から見た経済産業省のあるべき姿を聞いた。

 ―経産省の組織改革の研究会に参加して、普段なじみの薄い同省にどんなイメージを持ちましたか。
 「DNA的には本来はすごいチャレンジ精神を持っていた組織だ。時代とともに少しお堅くなってきて、『無難に』『安全に』という一般的な官僚になった。もともと白洲次郎のようなDNAを持たないといけないのに、時代とともに変わってきて、閉塞(へいそく)感が強まっているのではないか」

 ―経産省の組織マネジメントの難しさをどう見ますか。
 「経産省は毎年かなり優秀な人材が入ってくるはずだ。本来は一人一人の能力を最大限活用できることが理想だが、そうもいかない。ある一定のところまではみな横一線だが、そのあと差がどんどん出る。エリートな分、一般企業よりモチベーションの下がり方はすごいかもしれない。差をつけられる屈辱感に耐えてモチベーションを保つのはあり得ない。モチベーションの維持が重要なテーマだ」

 ―ラグビーと共通する点はありますか。
 「ラグビーは出場する15人と、リザーブ8人の計23人しかゲームに出場できる可能性がない。モチベーションアップのカギはいくつかある。『チャンスが平等』『評価が公平』『明確な目標を設定』『できたら褒める』『活躍したらそれに見合った場を与える』『自分にしかできない役割を自覚させる』などだ」

 ―経産省は他省庁に比べて個性を尊重する文化があるとの指摘もあります。
 「ラグビーの場合、持ち合わせる個人の技術がバラバラだ。体の大小や技術の違いもあって均質な能力はない。その能力を集約してチーム力を高めて、ゲームでうまく機能させるかがポイント。自分の役割を自覚するしないは大きな違いだ。役割の自覚を問うのはリーダーの責務だ」

 ―経産省の課題は。
 「チームとして何を目指し、何をつくっていくか。それぞれが最終形と役割を理解し、その分野でプライドを持って、徹底的に自分の仕事に没頭する。これは基本的なチーム論だが、変にプライドが邪魔したり、個人の感情が異常に入ったりするのを抑えながら、チームとして最大効率化を図ることがこれからの組織に求められる」

 【記者の目/1+1が2超のマネジメントを】
 ラグビーは主要スポーツで出場選手数が15人と一番多い。それぞれが決められた役割を全うして勝利を目指す”究極“のチームスポーツだ。「連携性が大事」(平尾氏)であり、1+1が2を超えるマネジメントが不可欠となる。良くも悪くも個が前面に立つことが多い経産省にとって示唆に富む言葉だといえる。
(聞き手=鈴木岳志)
 

日刊工業新聞2015年08月13日 2面

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

最後のトライは痺れました。「自分の役割を自覚するしないは大きな違いだ」と平尾さん。今の日本代表メンバー全員にそれがある。

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