英教育誌が選んだ日本一「教育充実度」が高い大学はどこ?

「THE世界大学ランキング日本版2019」を公表

 英教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)は、教育を中心とする「THE世界大学ランキング日本版2019」を公表した。今回は新たに学生調査を導入し、「あなたの通う大学を友人らに勧めるか」などを問いかけた。その結果、総合点の3割を占める「教育充実度」は国際教養大学が第1位で、国際基督教大学、筑波大学が上位を占めた。高校教員の評判調査だけの18年版と比べ、順位を落とす大規模研究型大学も目立つ。受験生の進学先思案に影響を与えそうだ。

 学生調査は大学の依頼で、所属学生の回答がウェブ上で50件以上だった226大学で見た。「教員と交流する機会はあるか」「受講した授業のやりがいは」「所属大学への進学を勧めるか」など10段階で尋ねた。この結果に、「入学後の能力伸長」など高校教員の評判を加え、教育充実度のランキングを出した。

 トップは公立の国際教養大学で、上位10大学のうち私立は国際基督教大、上智大学、立命館アジア太平洋大学、神田外語大学。留学生が多く国際化で先進の大学が並んだ。国立は筑波大、北海道大学、東北大学、名古屋大学、東京外国語大学だった。前年は上位だった東京大学や慶応義塾大学などは順位を落とした。総合順位だけでなく、進学希望者が詳細を吟味して大学選びをするツールになりそうだ。

          

キーワード/教育評価の大学ランキング


Q 「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」で一番有名な世界大学ランキングと、どう違うのか。

A それは大学の研究力を重視した比較で、全世界の大学の6%程度しかランクインしない。対して教育は欧・米・アジアなど地域別で、より多くの大学を取り上げる。学部進学は研究より教育の方が重要な面もある。

Q どんな評価項目を重視するのか。

A 「教育リソース」は学生1人当たりの資金や教員比率などで、総合点に対し34%の重みを持つ。「国際性」は外国人の学生比率や教員比率などで20%だ。「教育成果」は企業人事部と研究者の評判で、前年より重みを抑えて16%。「教育充実度」は高校教員の評判と新規の学生調査で30%と重くした。

Q 学生調査は教育を受ける側の生の声といえそうだ。

A 例えば全体に「大学運営への提言機会」に対する評価は高めなのに、「提言へのフィードバック」の評価が低めだという。このような問題点をあぶり出し、他大学との比較も入れて、教育改革を進めるツールになるとしている。

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日刊工業新聞2019年4月4日

山本 佳世子

山本 佳世子
04月05日
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受験生と親にとっては、研究より教育のランキングの方が重要なのは当然だ。中でも教育充実度は、もっともシッカリ調べたい項目だろう。「入学後に能力が伸びている」といった高校教員の評判だけだった18年は上位だったが、学生調査が入った19年に順位を落とした大学名を見ると、興味深いところがある。具体的には東大(2位から11位)、京大(3位から15位)、早大(5位から11位)、慶大(6位から28位)だ。想像するに、ブランド力トップクラスの大規模大学は、「優秀な(一部の)学生の能力は伸ばせる」が、「アンケート調査でまんべんなく集まる学生すべてにとって、好ましい教育にはなっていない」のではないか。情報は「自分にとってどうか」という主体性を持って吟味することが重要だと感じている。

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