地方学生の就活格差をなくせ!解決策は“年4回の内定出し”?
企業と学生、両方にメリットのある採用活動を
春休み真っただ中の3月下旬、JR新宿駅西口から徒歩5分ほどのビルにあるカフェに、大学生ばかり20人ほどが集まっていた。ただのカフェではなく、東京で就職活動をする地方の学生を支援する“就活カフェ”だ。最近の就職活動の変化に、地方の学生は、より大きな影響を受けやすい。その理由は、情報を得たり、インターンに参加したりする機会に差が出てしまうからだ。
同カフェを運営する地方のミカタ(東京都新宿区)の佐久間大取締役は、「夏休みなどの長期休み期間は、地方の学生も東京に来て同じように活動できる。だが、その後の活動で、大都市圏の学生と差が出てしまう」と事情を説明する。
特に、企業がインターンに注力し始めた影響が大きい。インターンから直接採用するだけでなく、「人材を“選ぶ”側に回るため、企業は就活が本格化する前の夏休み中のインターンで、自社に応募する学生の母集団づくりに力を入れている」(佐久間取締役)。就活シーズンが始まってから採用活動に本腰を入れた企業が良い人材を見つけにくいのはこのためだ。意識の高い学生は早い段階で志望先の目星をつける。
東京で就職したい地方の学生にとっては、企業を深く知るチャンスが少ない。大都市圏に住む学生は、企業の人と会ったり、有効な自己分析の方法の情報を得たり、練習したりする機会も多い。勉強会なども大都市圏のほうが活発だ。
「地方の学生に悩みを聞くと、就職活動の“軸”づくりに悩んでいる人が多い」(同)という。“軸”とは、就職したい業種や職種ではなく、“何を大切にして働くか”ということ。例えば、20代の間の自己成長や東京で働きたい理由など、人によってそれぞれだが、「東京の学生は練習や実践の場が多く、地方学生よりも早く話せるようになる」(同)。
企業が採用活動で学生を評価するポイントは、今も昔も大きく変わらず、学歴と実績、コミュニケーション力の3点だ。ただ、年々、コミュニケーション力への比重が高まっているため、学生が軸を考える必要に迫られている。
佐久間取締役は、地方と大都市圏の就活格差をなくすため、「企業には、もっと採用活動の間口を広げて欲しい」と訴える。例えば、大学1年生からインターンに参加できれば、長期の休みしか東京に来られない地方の学生も、1年生から企業を知る活動を始めることで、年に3回の長期休みを使って多くの企業に接触できる。
これに加え、「内定を出すタイミングが、年に3-4回あってもいいのではないか」(同)と指摘する。ここ数年、何月から採用活動を始めるのか議論になってきたが、内定を出すタイミングが1回なら、スケジュールのタイトさはそれほど変わらない。年3-4回の内定にすると、企業は採用活動のスケジュールやリソースの配分を大きく変える必要はあるが、内定辞退者のリスクを分散できる可能性がある。
地方のミカタは、企業が地方の学生へオファーできるオンラインサービスも提供しており、約250社が登録する。東京で就活するにはお金がかかり、しっかり計画を立てなければならない。このため、東京で就活する地方の学生を『逆境に強い』や『バイタリティーがある』と評価する企業が増えてきた。地方の良い人材を獲得する戦略を考えることも、企業にとって一つの方法になるだろう。
今、新卒に限らず、採用活動全般が転換点を迎えている。転職した社員と緩やかなネットワークを保ったり、自社のファンを増やす活動と採用活動を一体化させたり、新しい方法がどんどん出てきている。どんな人材を採用したいから、どんな方法を選択するのか。企業も採用活動の“軸”を問われているのではないだろうか。
インターンの活動に格差
同カフェを運営する地方のミカタ(東京都新宿区)の佐久間大取締役は、「夏休みなどの長期休み期間は、地方の学生も東京に来て同じように活動できる。だが、その後の活動で、大都市圏の学生と差が出てしまう」と事情を説明する。
特に、企業がインターンに注力し始めた影響が大きい。インターンから直接採用するだけでなく、「人材を“選ぶ”側に回るため、企業は就活が本格化する前の夏休み中のインターンで、自社に応募する学生の母集団づくりに力を入れている」(佐久間取締役)。就活シーズンが始まってから採用活動に本腰を入れた企業が良い人材を見つけにくいのはこのためだ。意識の高い学生は早い段階で志望先の目星をつける。
東京で就職したい地方の学生にとっては、企業を深く知るチャンスが少ない。大都市圏に住む学生は、企業の人と会ったり、有効な自己分析の方法の情報を得たり、練習したりする機会も多い。勉強会なども大都市圏のほうが活発だ。
コミュ力重視は大都市に有利?
「地方の学生に悩みを聞くと、就職活動の“軸”づくりに悩んでいる人が多い」(同)という。“軸”とは、就職したい業種や職種ではなく、“何を大切にして働くか”ということ。例えば、20代の間の自己成長や東京で働きたい理由など、人によってそれぞれだが、「東京の学生は練習や実践の場が多く、地方学生よりも早く話せるようになる」(同)。
企業が採用活動で学生を評価するポイントは、今も昔も大きく変わらず、学歴と実績、コミュニケーション力の3点だ。ただ、年々、コミュニケーション力への比重が高まっているため、学生が軸を考える必要に迫られている。
佐久間取締役は、地方と大都市圏の就活格差をなくすため、「企業には、もっと採用活動の間口を広げて欲しい」と訴える。例えば、大学1年生からインターンに参加できれば、長期の休みしか東京に来られない地方の学生も、1年生から企業を知る活動を始めることで、年に3回の長期休みを使って多くの企業に接触できる。
間口拡大は企業にもメリット
これに加え、「内定を出すタイミングが、年に3-4回あってもいいのではないか」(同)と指摘する。ここ数年、何月から採用活動を始めるのか議論になってきたが、内定を出すタイミングが1回なら、スケジュールのタイトさはそれほど変わらない。年3-4回の内定にすると、企業は採用活動のスケジュールやリソースの配分を大きく変える必要はあるが、内定辞退者のリスクを分散できる可能性がある。
地方のミカタは、企業が地方の学生へオファーできるオンラインサービスも提供しており、約250社が登録する。東京で就活するにはお金がかかり、しっかり計画を立てなければならない。このため、東京で就活する地方の学生を『逆境に強い』や『バイタリティーがある』と評価する企業が増えてきた。地方の良い人材を獲得する戦略を考えることも、企業にとって一つの方法になるだろう。
今、新卒に限らず、採用活動全般が転換点を迎えている。転職した社員と緩やかなネットワークを保ったり、自社のファンを増やす活動と採用活動を一体化させたり、新しい方法がどんどん出てきている。どんな人材を採用したいから、どんな方法を選択するのか。企業も採用活動の“軸”を問われているのではないだろうか。
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