変化の時代に挑む武器。自分の内面を掘り下げる『内省力』とは?

一般社団法人21世紀学び研究所 熊平美香代表理事

 「今、読み・書き・そろばんと同じくらい『内省力』が大事になっている」。一般社団法人21世紀学び研究所の熊平美香代表理事は、3月21日に開催された学生向けキャリアデザイン講座「コア」で、就職活動中の学生らに、こう呼びかけた。最近の就職活動では自分に合う仕事を探すため、自分の内面を深掘りして考えることが重視されている。
 従来の仕事の内容やあり方が大きく変わる今、多くの社会人にも必要になる力だ。

 同講座は、ソーシャル経済メディア「ニューズピックス」と、地方に住む学生の東京での就職活動を支援する地方のミカタ(東京都新宿区)が開催。約150人の学生が参加した。

内省のメソッド


 熊平代表理事は内省(リフレクション、自己分析)の第一人者で、普段は企業に勤める大人向けに“学ぶ力”を高める教育プログラムを提供している。内省によって、自分の価値観やありたい姿がわかれば、現状とのギャップを埋めるために、学びと成長を繰り返すことができる。

 自分の内面を深掘りすることは学生にも社会人にも難しいが、メソッドはある。同講座では、約80個のキーワードから、まず自分が大切にする価値観を10個選ぶ。次に10個を3個に絞り込む。最後に3個から最も大切な価値観を1個選び出す。

 リストに並ぶキーワードは、愛情やお金、快楽、自然、自由、家庭をもつこと、権威と権力、相互依存性、興奮、国家、富、道徳的習慣、リーダーシップなどさまざま。

 そこから、なぜそのキーワードが大切なのか、できるだけ具体的な経験を思い出して、具体化する。次に、その経験にどんな感情がひもづいているかを抽出する。そして、「キーワード」と「経験」、「感情」から見えてくる、自分の大切にしている「価値観」を言葉にする。

 熊平代表理事が選んだのは「自然」。森や川などの自然環境ではなく、心が落ち着かない、不安な気持ちになった経験から、「正しい」「普遍的」という価値観を求めるようになったという。

 これは「認知の4点セット」という、自分の思考や感情、行動を客観的に捉えるためのフレームワーク。4点は、意見と経験、価値観、感情で、最初に選んだキーワードは意見にあたる。

仕事への生かし方


 例えば、4点で「犬嫌い」という意見をひもとくと、「犬にかまれた」経験があるから、「犬は近づくと危険」という価値観を持ち、その背後には「怖い」という感情がある。

 価値観は行動を起こす時の動機の源で、これが満たされる方向へ進むとやりがいを感じ、幸せになれる。価値観は、さまざまな感情が重なって形成される。このため、さまざまな事態に直面した時、その時々の自分の意見と感情を把握することが重要だ。

 同講座に参加したある学生は、キーワードに「お金」を選んだ。お金があるかどうかで、恋人の卒業後の進路が狭まったという経験がもとにある。そこで「自分がちゃんとお金を稼ぐことで、将来の家族にとって、お金の有無が進路の壁にならないようにしたい」という。

 自分の価値観を知ることで、就職先を選ぶ時に役立つ。また、嫌な仕事をしなければならない時も、自分の価値観と照らし合わせて、嫌な仕事の中にもやりがいを見つけられる。もちろん、1回の内省で、自分の全てはわからない。内省を習慣にするほか、「人と対話しながらやるといい」(熊平代表理事)。

 今、就職活動中の学生に限らず、多くの社会人が自分の意見や価値観を持って仕事をすることが求められている。内省力は、そうした時代を生き抜く武器となりそうだ。

ニュースイッチオリジナル

梶原 洵子

梶原 洵子
03月30日
この記事のファシリテーター

自分でリフレクションをした結果、キーワードは「創造性」でした。創造性があるわけではなく、0→1の創造性に憧れとコンプレックスがあるから、創造的な人を応援して、それに近づければいいと思って仕事をしているような気がします。少し自分を理解できたかもしれません。今の就活生は本当に大変ですが、いろいろなことを考えるチャンスでもあるので、そう思いながらがんばってほしいです。ただ、働き始めてから考えることだって十分できます。

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