「すばる望遠鏡」の後継、地道な説得で工事再開へ

次世代望遠鏡「TMT」、2027年度に完成予定

 国立天文台は米ハワイ島マウナケア山頂で建設が中断していた次世代望遠鏡「TMT」の工事を今春にも再開することを明らかにした。2027年度に完成予定。「すばる望遠鏡」の後継で、高い解像度と集光力により宇宙で最初に生まれた星や生命に関わる天体の発見、太陽系外惑星の形成過程の探査などを目指す。

 TMTのプロジェクトには日米のほか、カナダ、インド、中国の5カ国が参加している。TMTは14年10月に着工したが、建設予定地がハワイ先住民の聖地とされている場所であることから計画中止の抗議活動が起き工事を中止。15年12月、ハワイ州最高裁判所はTMT建設許可が無効であるとの判決を出した。

 その後、TMTの国際グループは40回以上開かれた地元の公聴会で粘り強く説明し、ハワイ州政府は17年9月にTMTの建設を許可。この許可の取り消しを求めて住民が提訴していたが、18年10月に訴えが退けられ、工事再開にこぎつけた。

 TMTは複数の鏡で光を集める反射望遠鏡。492枚の鏡を組み合わせ直径30メートルの巨大な1枚の鏡として機能させる。同じくマウナケア山頂にある同8・2メートルのすばる望遠鏡の後継で、10倍以上の光を集めることが可能。赤外線観測では米航空宇宙局(NASA)の「ハッブル望遠鏡」の10倍以上、すばる望遠鏡での約4倍の解像度が得られると期待されている。

 建設費用は総額1800億円で日本はその20―30%程度を負担する。主鏡の材料と研磨の一部、望遠鏡構造の製作などを三菱電機やキヤノンなどの国内企業が担当する。

日刊工業新聞2019年1月18日

  

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