大学でのキャリア形成の男女差、同じ文系なのに分野で違いのワケ

学術会議・ギース調べ

 大学や公的研究機関でのキャリア形成の男女差は、同じ文系でも分野により違いがあることがわかった。日本学術会議総合ジェンダー分科会と、人文社会科学系学協会男女共同参画推進連絡会(ギース)は、人文・社会科学系研究者約3000人を対象にした男女共同参画のアンケートを初めて実施した。その結果、特任教員など雇用が不安定な研究者(有期雇用者)の比率は、社会科学系では年齢が上がるにつれて男女差がなくなるのに対し、人文科学系では逆に男女差が生じていた。

 調査はお茶の水女子大学の永瀬伸子教授を代表者に、同大が研究事業費を提供した。調査は日本学術会議の文系10分野の学会ルートなどで、2018年6―11月に実施。分野の片寄りを抑えてサンプル数は2972人、女性が53%。有期雇用の項目は学生を除き、男女の「統計的な差の有無」を分析した。

 経済学や社会学など社会科学系の有期雇用者の比率は20―30代では女54%、男37%と差があるが、40代で女22%、男16%と統計的な有意差がなくなった。

 一方、文学や心理学など人文科学系の有期雇用は20―30代で女57%、男50%と差がない。しかし40代は女31%、男17%と差が生じ、50代も女19%、男5%で差があった。全世代合計では史学、哲学、言語学、心理学で男女差があった。

 理由は不明だが「人文科学系は研究内容の裏づけや評価が難しく、男性が雇用の面で有利になる」との意見があるという。対して「データがものをいう社会科学系は、男女同等の評価が実現している」と解釈できる。

 研究者の男女共同参画の大規模調査は、自然科学系で定期的に行われ、結果は政府施策に生かされている。対して人文・社会科学系の学会横断の調査はこれまでなかった。

        

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日刊工業新聞2019年2月28日

山本 佳世子

山本 佳世子
02月28日
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コメンテーターなど女性有識者の活躍は経済学や経営学で目立つ。「女性研究者の比率は人文科学系より低いはずなのに、なぜだろう。社会科学の方が、社会ニュースの分析や解説で引っ張り出されやすく、目につくだけだろうか?」と以前から気になっていた。それだけに今回の結果に「そうだったのか」との思いを持った。これは研究者以外の職業での状況も気になるところだ。一般に女性比率は、論理的で合理的な分野より、人間的で感性的な分野の方が高いのに、リーダー層になる女性比率となるとそう多くない印象だからだ。「多くの女性が好む分野こそ、評価が難しく、結果的に女性の社会的活躍で不利になっている」という仮説が設定できるのではないか。

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