建設業界の深刻な人手不足、奨学金制度は打開策になるか

ソネック、建築・土木分野の大学生を支援

 ソネックは2018年2月、建築や土木分野を専攻する大学生向けに奨学金を交付する「志・建設技術人材育成財団」を設立した。技術者不足が深刻な建設業界の活性化を目指す。同社の利益などから計1000万円の基金を用意。同財団は、兵庫県内の建設業へ就職を目指す大学生に、年間50万円の奨学金を無償で給付する。福島孝一社長にその狙いや今後の方向性を聞いた。

―財団設立の経緯は。

「建設業は、公共工事や病院、福祉施設の建設など、世の中に欠かせない業種。現状、慢性的な人手不足が叫ばれる一方で、企業の設備投資や老朽化した病院の改築など、近年は需要が旺盛だ。そこで建築や土木分野を専攻する学生を支援し、地域の建設業への就職を後押しする仕組みをつくろうと考えた」

―18年度に1期生を募集しました。

「奨学生は、各学年5人ずつで、1期当たり計20人を募集しているが、初年度は応募数が少なく、支給が決まったのは3人となった。ただ、アルバイトをしながら学費をまかない、将来は地元の街づくりに貢献したいという、強い思いを持ちながら勉学に励む学生がいた。奨学金を活用することで、アルバイトに割く時間を勉強に充て、建設に関する専門知識を磨くことができる。高校訪問も強化して周知を図り、建設分野に対して前向きに進路決定してもらいたい」

―事業との相乗効果は。

「10年後には、奨学金取得の卒業生が50人となる。財団へは、当社の利益からも寄付しており、まさに従業員に支えられた仕組みだ。近況報告や当社主催の講演会などを通じ、定期的に交流の機会をつくりたい。奨学生から『ソネックは良い会社だ』という印象を抱いてもらえば、社員の動機付けにもなる」

―今後の展開は。

「若い人に建設業の魅力を知ってもらうことが重要だ。全国の大学・高校訪問を継続するだけでなく、当社の協力企業にも奨学金制度を波及させ、学生支援の輪を大きくしたい。建設現場の技術といった専門職育成の奨学金など幅を広げることも検討している」
(神戸・中野恵美子)

日刊工業新聞2019年2月21日

  

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