賃金格差どこまで解消できるか、平成最後の春闘が火ぶた

大手労働組合の要求が出そろう

 2019年春闘で自動車、電機など大手労働組合の要求が出そろった。トヨタ自動車労働組合はベースアップ(ベア)要求額を示さなかったが日産自動車、ホンダなど他の労組はベア3000円を要求。日立製作所、三菱電機など電機大手もベア3000円で足並みをそろえた。世界経済の不透明感が漂う中、3月13日の集中回答日に向けた平成最後の春闘交渉が始まった。

 春闘相場をリードしてきたトヨタ労組はベア要求額を示さず、月額でベア、定期昇給分、各種手当を含め総額1万2000円の賃上げを要求した。上部組織の自動車総連が前年は「3000円以上」と明記していたベア要求額について今年は明記しなかったため。

 この背景には、昨年の春闘でトヨタ自動車の経営側がベアの妥結額を非公表とするよう労組に要請したことがある。トヨタのベア非公表について連合の神津里季生会長は「水準は分かっており、中小の底上げにこだわる」と「トヨタ超え」への期待を込める。トヨタ系労組で構成する全トヨタ労働組合連合会加盟のメーカー系労組の平均賃上げ要求額は、月8094円(前年は7915円)。

 自動車総連の高倉明会長も「ベアだけ見れば中小が大手を超えるようになったが、定昇にも焦点を当てないと賃金格差は縮まらない」とし、グループ会社や下請け中小の底上げに軸足を移す。一方、統一ベア要求が慣行の電機連合加盟労組は、昨年と同額のベアを要求する。

 今春闘の焦点はここ20年、開いてきた大手と中小の賃金格差をどこまで解消できるかだ。「官製春闘」は一定の結果を出したものの2%台の賃上げ率にとどまる。しかも厚生労働省の毎月勤労統計の不正に伴い、政府が示した実質賃金の伸びが疑問視されている。

 連合は新たに連合加盟組合の平均賃金水準である月額約30万円を指針とする「社会横断的水準」を示した。賃金実態が把握できない中小組合に対し定昇に当たる「賃金カーブ維持相当分」4500円に加え、2%の格差是正分6000円の「総額1万500円以上」の目安を明示した。

 来年4月施行の「同一労働同一賃金」に向けた非正規社員の待遇改善も焦点。NTT労働組合は正規、非正規を問わず年収ベースで2%の賃上げを要求。日本郵政グループ労働組合は組合員の4分の1を占める非正規社員を扶養手当の支給対象とするよう要求する。

日刊工業新聞2019年2月18日

  

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