日本電産の意思決定、永守会長を除く“5人のC”が週イチ会議

吉本浩之社長に聞く「会長へは指示ではなく決裁を求めている」

 ―重点分野の一つである車載向けの見通しは。
 「中国の自動車市場の伸びが減速している。米中貿易摩擦だけではなく、小型車減税制度が廃止されたことも影響している。それでも特に電気自動車(EV)などの新エネルギー車は成長している。車の電動化は、非常に大きな波が押し寄せている」

 ―EV用駆動モーターの量産が5月から中国で始まります。
 「完成車や1次部品のメーカーから多くの引き合いがあり、大忙しだ。当社はモーターとギア、インバーター(電力変換装置)を一体にした『トラクションモーターシステム』もあり、顧客の要望に応じたモーターを提供できる。中国のほか、ポーランドやメキシコの3極で生産する」

 ―従来の生産品目にとらわれない、適地生産体制の構築を進めていますね。
 「基本は顧客の近くで地産地消することだが、もう一つはトータルコストの観点。当社は世界中に生産拠点があり、(需要動向や世界情勢に)臨機応変に対応できるのが強みだ」

 ―車の電動化、省エネ家電、協働ロボット、飛行ロボット(ドローン)を「四つの大波」としています。次の大波は。
 「第5世代通信(5G)だ。データセンター用にモーターの需要が高まる。さらにデータ量が格段に増えることを受け、放熱技術の需要も増加する。台湾の放熱部品大手、超衆科技(CCI)を2018年11月に買収したのも放熱技術を強化する一環だ。(精密小型モータ事業の)ポートフォリオ転換を進める。モーターと熱管理をセットにして、さらに事業を伸ばすことができる」

  ―創業者の永守重信会長から社長を引き継ぎ約半年です。
 「『COO(最高執行責任者)会議』を開いている。私を含めC(最高)の肩書が付く6人のうち(永守会長を除く)5人が週1回は集まり議論する。その上で、CEO(最高経営責任者)の会長へは指示ではなく、決裁を求めている。当社の強みである意思決定のスピードは落とさないようにしている」

【記者の目】
 2019年は5Gの商用化が一部始まり、「5G元年」とも呼ばれる。日本電産は20年以降本格化する“5Gの波”に備える。従来掲げる「四つの大波」に共通するのは、通信領域と近接していることだ。IoT(モノのインターネット)などつながる技術が普及する中、制御に優れるモーターが活躍する幅は格段に広がる。
(文=京都・日下宗大)
社長を引き継ぎ約半年になる吉本氏

日刊工業新聞2019年2月7日

  

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