スマホ決済の覇権争い、体力勝負に挑むLINEの覚悟

LINE・出沢社長インタビュー

―スマートフォン決済サービス市場の競争が激化しています。
「現在はスマホ決済の普及期に入りつつある。各社が決済手数料を無料にしたりポイント還元したりキャンペーンを実施して、市場を盛り上げていくフェーズだ。また政府は10月の消費増税時にキャッシュレス決済へのポイント還元を予定するほか、電子マネーを使った給与支払いを解禁する予定だ。(キャッシュレス化へと)世の中の流れがガラッと変わるタイミングに来ている。2019年は、スマホ決済が一気に広まる『ティッピングポイント』となるだろう」

―「LINEペイ」の普及に向けた課題は。
「現在はコンビニエンスストアなど大手顧客を中心に普及しているが、中小規模のスーパーへの導入がまだ進んでいない。レジ作業の効率化や混雑緩和などをアピールして、地場のスーパーを中心に導入を進めていきたい」

―みずほフィナンシャルグループと連携し、20年に新銀行を開業する予定です。
「LINEペイのユーザーが増加する中で、こうした銀行サービスのニーズが出た。みずほ銀行のメガバンクとしての信用力や銀行業を始めるにあたってのノウハウを活用して展開する」

―生体情報などを使った認証方法を推進する業界団体「FIDO(ファイド)アライアンス」に加盟しました。
「重要な研究テーマの一つだ。LINEペイに生体認証を取り入れると、ユーザーがもっと楽にアプリケーション(応用ソフト)を利用できるかもしれない。ユーザーにとって有意義なことは開発を進めていく」

―対話型の人工知能(AI)「クローバ」は異業種との連携を進めています。
「あらゆる企業と連携し、音声認識精度を向上してAIを賢くしていくことが重要だ。例えばトヨタ自動車との連携では、ドライブしながら音声による目的地検索やカーナビゲーション機能を提供する。今後あらゆる車メーカーとの連携を検討していく。またクローバとの対話が認知症の改善につながるとして、介護施設や老人ホームからの需要が高まっている。大学などと連携して研究していく考えだ」

LINE・出沢社長

【記者の目/顧客獲得へ正念場】
対話アプリ「ライン」を核に多様なサービスを展開するLINEが力を注ぐのが、スマホ決済だ。今後は「体力勝負になってくるだろう」とし、顧客獲得に向けたキャンペーンを矢継ぎ早に実施する方針だ。いまだ勝者不在のスマホ決済市場で正念場を迎えている。(大城蕗子)

日刊工業新聞2019年2月1日

葭本 隆太

葭本 隆太
02月02日
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1月31日発表した2018年12月期の連結決算では最終損益が37億円の赤字となり、「上場後初の赤字」がニュースになりました。この背景にはスマホ決済への大きな投資があります。そしてもう一つ、AI分野へも大きな投資をしています。どちらの市場も競争は激しく、まさに次の成長への正念場という感じです。

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