造園業者が「SDGs」達成への貢献を取引先に宣言する狙い

日比谷アメニス・小林定夫社長インタビュー

 日比谷アメニス(東京都港区)は、持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献を掲げた「環境宣言」を制定した。同社の造園や緑化事業は環境貢献そのものだが、あえて宣言した。そこには単なる景観づくりの枠を超えた価値を提供する決意がある。小林定夫社長に宣言への思いや緑化の多様な価値について聞いた。

―環境宣言の狙いは。
「2013年に10年後のビジョンをつくった。当時、新入社員や社歴30年のベテランも一緒に『やりたいこと、夢は何か』を3年かけて議論した。それから時間が経過したので環境宣言を出した」

―愛される空間づくりなど五つの行動を示し、SDGsへの貢献を掲げた理由は。
「仕事の社会的役割を社員は再認識し、正社員以外にも理解してもらいたい。宣言は顧客や取引先にも紹介しており、『おもしろいことをしている会社』としての認知につなげたい」

―SDGsの目標別アイコン(絵文字)で業務と社会課題との関わりを整理しました。
「社員には参考にしてほしい。ただし、私から『こうしてほしい』とは言わない。誰かに言われてやるのでは続かないが、自ら取り組むと継続する。環境宣言に掲載がなくても、課題解決に貢献する行動を考えてほしい」

―緑地を使って水害を抑える「グリーンインフラ」が注目されています。東京五輪も控え、都市緑化への期待が高いのでは。
「地域の住民や企業との協力で後世に誇れるレガシーをつくりたい。緑地の管理費を抑えたいという声を聞くが、関係者と粘り強く交渉し、地域から流れを生み出したい」

―水を浄化する緑地を整備し、建物や地域の水消費を実質ゼロにする「ネットゼロウオーター」を提唱するなど、緑地の新たな機能を訴えています。
「防災や身体・精神的な豊かさなど、緑に多くの価値を持たせたい。緑地関連の認証取得によるブランド向上も施主の価値となる。水資源保全、地中熱システム導入による省エネなど他の機能も提案し、持続可能な社会づくりに貢献する」

【記者の目/SDGsの活用が差別化に】
SDGsの活用が差別化になると感じた。SDGsに取り組みたい企業が増えており、自社ビルの緑化ニーズがありそう。施工者の選定でもSDGsが基準となれば、宣言した日比谷アメニスへの依頼が増えるのでは。小林社長は「早くそうなってほしい」と語っていた。もちろん防災や水資源保全などの価値提供も強みとなる。(編集委員・松木喬)

日刊工業新聞2019年2月1日

松木 喬

松木 喬
02月02日
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「夢」を語る社員のワークショップによる成果が冊子「ワークブック」にまとめられています。ワークブックはミニアルバムのような見た目で、机に置けるし、かばんにも入れて携帯できるサイズです。日記のように自分の思いをメモできるスペースもあります。手の届く場所にワークブックがるので、社員は日常業務でビジョンを確認する機会が自然と多くなります。他社でも参考になると思いました。

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