大企業から資金調達相次ぐ、社会課題解決型VBが注目されるワケ

SDGsが追い風

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石灰石を主原料に製作した成形品(TBM)
 社会課題解決を目指すベンチャーが大企業から資金調達を進めている。森林資源や水を使わない“石の紙”を製造するTBM(東京都中央区)は、凸版印刷や大日本印刷など8社から31億円を調達した。アフリカの未電化地域にランタン(携帯用照明具)を貸し出すWASSHA(同文京区)は丸紅の出資を得た。再生可能エネルギー由来電気の流通を目指して2017年10月に起業したデジタルグリッド(同千代田区)は28社から合計約4億円を調達した。

 TBMは第三者割当増資を実施し、他に伊藤忠商事、ゴールドマン・サックス、三菱鉛筆などからも出資してもらった。調達資金は20年稼働の新工場や海外事業に使う。石の紙は石灰石に樹脂を混ぜて製造する。普通紙のように文字を書け、印刷もできる。製紙と違い森林資源や水を使わず、石灰石は豊富にあるため資源問題の解決に貢献できる。

 名刺などに採用する企業が増えてきた。成形も可能で、石油由来プラスチック代替として用途拡大が期待できることから企業も出資に応じた。TBMは出資企業と連携して事業を拡大する。

 

 WASSHAは太陽光パネルで発電した電気を内蔵バッテリーに充電したランタンのレンタル事業をタンザニアで展開する。電気が来ていない未電化地域に暮らす低所得者にも必要な時だけ照明を使ってもらおうと始めた。150万人が利用する。

 世界では未電化地域で11億人が生活する。WASSHAの秋田智司最高経営責任者(CEO)は「社会的課題をビジネスの力で一緒に解決したい」と丸紅に提案した。大手商社の力を借り、タンザニア以外にも事業を広げる。丸紅は段階的に出資し、出資比率を21%とする予定だ。

 デジタルグリッドはメールのように電気を送りたい先に送電できる技術を持つ。19年秋、企業が再生エネ電気を選んで調達できる流通基盤を開設する。日本では企業が直接、購入できる再生エネ電気は限られる。一方で再生エネ電気を求める企業が増えており、基盤に期待が集まる。東京ガス、九州電力、三菱商事、住友商事などが出資する。

 持続可能な開発目標(SDGs)の認知度が高まり、社会課題解決型ベンチャーが注目されるようになった。また環境や社会への配慮を基準としたESG投資(環境・社会・企業統治)が後押しとなり、企業も課題解決力を秘めたベンチャーに出資しやすくなっている。ベンチャーにとっては成長資金獲得のチャンスが生まれている。

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日刊工業新聞 2018年11月26日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

製造業のベンチャーはモノがないと資金を調達できない、モノをつくるには設備が必要、設備を入れるには資金が必要。結局、はじめの資金をどう調達したら良いのか? 先日、TBMの山﨑社長に質問する機会がありました。大企業にも「熱い人」がいて、その方に相談するという趣旨の回答いただきました。

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