東京エレクトロン社長、「メモリーの価格下落は想定内。半導体は高需要サイクルに」

河合利樹社長兼CEOインタビュー

 ―2019年の見通しを教えてください。
 「メモリーは調整局面だが、全体的には年の後半から立ち上がってくるだろう。メモリーの価格が下がっているといった話しもあるが、それは想定内のこと。価格が下がって(新技術が世の中に)普及し、再び技術革新が起きて新しい価値が生まれるといった流れが続くだろう」

 ―半導体業界に約4年周期で起きていた、好不況のサイクルが変わりつつあります。
 「半導体市場は多少の需給バランスの調整がありながらも右肩に上がっていく、新しい成長フェーズの入り口にある。今後は自動運転やスマート医療、バイオインフォマティクス(生命情報科学)をはじめ、人工知能(AI)などを活用した新しいサービスが登場する。半導体の『高需要サイクル』と言えるのではないか」

 ―異業種の企業や顧客である半導体メーカーとはどのように連携しますか。
 「産学連携や異業種企業との連携は、5年、10年、15年先や(データを介して機械や技術、人がつながる)『コネクテッドインダストリーズ』を考えると可能性はある。企業の成長や企業価値向上につながる場合は柔軟に考えたい。顧客とはロードマップを共有し、短・中・長期的な価値を継続的に提供していく」

 ―報酬についての考え方は。
 「グローバル競争力を考えると(技術力だけではなく報酬面でも)社員全体の競争力が必要だ。当社は業績連動報酬を採用している。良い仕事をした社員には、それに見合った報酬を返していきたい。(事業の)成長とともに魅力的な報酬制度を引き続き作り、魅力のある企業にしていく」

 ―20年に東京五輪・パラリンピック、25年に国際博覧会(万博)が日本で開かれます。
 「放送にハイテク技術が使われるほか、自動運転技術も東京五輪などに向けて準備が進められている。映像(配信)や高速通信に関わる半導体の重要性が増す中、我々の取り組みをアピールできる機会になると思う」

【記者の目】
 宮城県に工場を構える同社は被災地の復興にも積極的だ。宮城県で開かれる女子駅伝に特別協賛し、社員もボランティアとして大会をサポートした。河合利樹社長は「日本のトップランナーが復興の地を走ることで街に元気が与えられる」と話す。今後も復興や防災につながる活動に期待したい。中長期的に需要拡大が見込める半導体製造装置を増産することも地域活性化につながるはずだ。
(福沢尚季)
河合利樹社長


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