20年度、国内半導体装置市場1兆円超えの必然

足元の停滞感は“過程”

 国内の半導体製造装置の市場規模が2020年度に1兆円を超えそうだ。1兆円を超えれば07年度以来13年ぶりとなる。海外市場は米中貿易摩擦の影響を受けて減速傾向だが、日本半導体製造装置協会(SEAJ、東京都千代田区)は新技術の普及を背景に積極的な投資を期待し、市場規模の拡大を予測する。

半導体需要はスマホ依存から重層的な広がりへ


 「これまでパソコンや携帯電話(スマートフォン)によって増えてきた半導体需要が、ICAC5によって(さらに)増えている」。SEAJの辻村学会長(荏原製作所執行役専務)は、半導体需要を押し上げる要因についてこう力説する。ICAC5は、IoT(モノのインターネット)とクラウド、人工知能(AI)、自動車、第5世代通信(5G)を指す。辻村会長は半導体に求められる性能の高度化などに伴い、今後の半導体需要の重層的な広がりを予測する。

 海外メーカーの動向や米中貿易摩擦の影響を受け、グローバルの半導体装置市場は、やや減速傾向にある。米SEMI(カリフォルニア州)の調査では、米中貿易摩擦の影響で19年の半導体製造装置市場は前年比4・0%減の595億8000万ドル(約6兆5000億円)となる見込み。

 ただ、SEAJによると18年度後半から19年度前半にかけてメモリー投資の減速により一時的な調整の可能性があるものの、19年度後半にはメモリーの需給が改善し、20年度には装置需要が回復する見通しだ。

 SEAJが正会員企業36社に対して行う短観調査でも、減速は一時的との見方が強い。同調査は良いがプラス1ポイント、悪いをマイナス1ポイント、普通は0ポイントと換算し、各社の見方を基に景気を判断する。18年12月の調査では直近が17、半年先はマイナス22と下がるものの、1年先は再び17とプラスに転じる結果となった。

 アドバンテストの吉田芳明社長は「調整すると言っても大幅なものではなく、一時的なものに留まる」としており、足元に漂う停滞感もシクリカルグロース(循環的な景気変動を伴う成長)の一つの過程との見方を示している。
(文=福沢尚季)

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日刊工業新聞2019年1月14日

  

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