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サムスン「西安工場」の弱点をつけ!東芝メモリ、3Dメモリーの増産戦略

2022年度まで2棟追加
サムスン「西安工場」の弱点をつけ!東芝メモリ、3Dメモリーの増産戦略

東芝メモリの四日市工場

 東芝の半導体子会社の東芝メモリは、2022年度までの5年間で先進の3次元(3D)NAND型フラッシュメモリー工場を最大2棟追加建設し、4棟稼働させる。市場が想定通りに拡大すれば、建設計画を進めている四日市工場(三重県四日市市)第6棟と岩手県北上市の新工場の稼働後に、両工場それぞれで追加で新棟を建設する。NANDメモリーはスマートフォンやデータセンター(DC)向けに需要が伸びる見通し。東芝メモリは積極投資により出荷額でシェア首位の韓国サムスン電子を追撃する。

 東芝メモリは四日市工場第6棟を今夏に稼働する。北上工場は20年頃の量産開始としてきたが、19年秋に前倒しする。その後、市況を見つつ四日市工場第7棟、北上工場第2棟の順に着手する意向だ。

 四日市工場第7棟については現在、土地買収を進めている。交渉状況によっては先に北上工場第2棟の建設を始める計画。一連の設備投資は3兆円を超え、提携先の米ウエスタンデジタルと分担する考えだ。

 東芝は、東芝メモリを米ファンドのベインキャピタルが主導する企業連合に売却する。ベインは東芝メモリの設備投資を支援する姿勢を示している。

 18年に入り米アップルや米グーグルがDC投資を積極化する計画を表明。3D構造NANDメモリーのDC向け需要は安定的に伸びる見通しだ。また20年に第5世代通信(5G)が始まれば、スマホ向けに大容量化が求められるとの指摘もある。

 サムスンは16―17年にNANDメモリー関連で巨額の設備投資を実施した。足元ではNANDメモリーと同様にDC向け需要が伸びるDRAM向けに投資を振り向けているが、主力の中国・西安工場、韓国・平沢工場でのNANDメモリーの増産投資計画もある。
                    
日刊工業新聞2018年3月20日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
 サムンスの泣き所は西安工場にある。同工場は韓国•華城工場とともに3D構造NANDメモリーで先行するサムスンを象徴する存在だった。だが、今や旧世代となった32層、48層製品の生産ラインが未だにあり、ベストな生産体制とはいえない。この状況が続く間に東芝メモリとしては、設備投資を加速し生産面でサムスンに追いつきたいところだ。もちろんNANDメモリーの市場拡大が想定通りに続くことが大前提となる。

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