女性IT技術者のキャリアアップ、ライバルが“理解者”に

IT6社が構成するコミュニティー「WITTy」の活動が活発化

 大手IT企業が集積する東京・豊洲。競合がひしめくこのエリアで、SCSKやNTTデータなど6社で構成するコミュニティー「WITTy(ウィッティ)」の活動が活発化している。各社はライバルであり、それぞれが同じ課題を抱える理解者でもある。ウィッティは「女性IT技術者のキャリアワークショップ」という位置付けで、彼女らが生き生きと働き続けるために会社の枠を超えた交流やネットワークを作る機会になっている。(川口拓洋)

「研修」の一環


 ウィッティは2013年度に組織され、SCSKやNTTデータのほか、日本IBM、日本ユニシス、NECソリューションイノベータ、リコーITソリューションズが参画する。年に一度、30歳前後の女性社員30人程度が集まり、自らのキャリアを考える場となっている。各企業によって異なるが「研修」の一環として扱われる場合が多い。

 「各社で女性活躍やダイバーシティー(多様性)を推進する担当者がさまざまなイベントで顔を合わすようになり、『一度交流を』と始まった」と発足の経緯を紹介するのは、立ち上げから事務局として活動するリコーITソリューションズ経営企画本部人事部の矢野絵美さん。「30代は女性にとって不安になる時期。楽しそうに仕事をしている先輩の姿を見てもらいたい」(矢野さん)と感じ、先輩社員によるパネルディスカッションと参加者によるグループディスカッションを始めた。

先輩から後輩へ


 パネルディスカッションでは各社の30代後半から40代の女性社員の話を聞くことを重点に置く。「結婚や出産などライフイベントがある中、キャリアとどう両立していくか。自分ごととして捉える必要がある」と矢野さんは説明する。6年目を迎え、過去の参加者がパネリストとして登壇する機会も出てきた。「続けていくことに意味があり、先輩から後輩へ循環していくモデルを作りたい」と矢野さんは意気込む。

経営層がエール


 18年度から、各社の社長や執行役員ら経営層からウィッティに参加する女性にビデオメッセージを発信する取り組みも始めた。日本ユニシスの平岡昭良社長は「女性の活躍は“個”を生かす場づくりの一歩。殻を破り新しい歴史を作ろう」、NTTデータの柳圭一郎副社長は「ウィッティの活動を通じて他社の事例を共有し新たなアイデアを生み出してほしい。それを経営層に提言することも重要」と呼びかけた。SCSKの河辺恵理執行役員は「私たちはSI(システム構築事業者)であると同時に、1人の個人。業界の中や外にたくさんの仲間を作ってほしい」とエールを送る。

 企業活動も1社単独ではなく、複数社によるエコシステム(協業の生態系)の形成が加速している。そこで働く社員も同様に社内外のコミュニティーをつくることが、新たなイノベーションのきっかけになりそうだ。

日刊工業新聞2019年1月24日

  

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