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防衛省、女性の潜水艦乗り解禁

防衛省、女性の潜水艦乗り解禁

19年3月に防衛省へ引き渡される潜水艦「しょうりゅう」

 防衛省は自衛官の定年年齢を2020年1月以降から引き上げるとともに、海上自衛隊の潜水艦への女性自衛官の配置制限を解除することを決めた。いずれも人手不足状況における、人的基盤の強化が狙い。

 自衛官の定年年齢の引き上げは、装備品のハイテク化や任務の国際化が進む中で知見を豊富に備えた人材の有効活用を図る目的もある。1佐の定年年齢は現行の56歳が、21年1月から1歳延びて57歳になる。

日刊工業新聞2018年12月25日



昨年の白書では


 2017年版の防衛白書が8日に閣議報告された。北朝鮮の弾道ミサイル運用能力の一層の向上を「新たな段階の脅威」と深刻に受け止め、中国の公表国防費が10年間で約3倍になるなど「不透明な軍事」に警鐘を鳴らす。

 ただ今回の白書が新たに章を設けて強調したのは「人的基盤と女性隊員の活躍」。巻頭カラー特集でも20ページにわたり、女性自衛官の実例やワーク・ライフ・バランスの取り組みなどを紹介する。

 企業の人手確保の問題と同様、自衛官募集も「厳しさが増している」と防衛省幹部。もともと17年3月末の段階で、予算上の定員に対する充足率は90・8%。兵卒にあたる「士」は69・5%しかいない。

 日本の安全保障の最大の危機は、自衛官がさらに不足する事態ではないか。周辺国の武力強化に対抗して潜水艦や哨戒機を増やしても、運用できなければ“張り子の虎”だ。

 陸上自衛隊の日報問題で稲田朋美防衛相と事務次官が辞任し、閣議報告の日程も延期になった防衛白書。新次官に就任した豊田硬さんは「失われた信頼回復に努める」と苦渋の表情であいさつした。新たな人材を引きつけるためにも、幹部への信頼は欠かせない。何を誤ったのか、次の白書で分析してもらいたい。

日刊工業新聞2017年8月9日

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