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来店客は10年で4割減、デジタル技術は銀行の苦境を救うか

三菱UFJ銀行が改革を本格始動
来店客は10年で4割減、デジタル技術は銀行の苦境を救うか

学芸大学駅前支店を改装し、次世代店舗の1号店を開設

 三菱UFJ銀行がデジタル技術を導入した店舗改革を本格始動する。21日にタブレットや多機能な現金自動預払機(ATM)などを設置した新型店を都内に開設。手書きの書類を端末操作で代替するなど、ペーパーレス化とともに顧客の利便性を高める。店舗改革は昨年4月に着手した11の構造改革の一つ。生産性向上と変化する顧客ニーズの取り込みを両立し、銀行店舗の新機軸を打ち出す。

 「デジタル化のファーストステップとなる」と亀沢宏規三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)執行役専務は意気込む。デジタル技術をふんだんに盛り込んだ次世代店舗「MUFGネクスト」として、学芸大学駅前支店(東京都目黒区)を改装した。自動化・省人化を指向したセルフ型店舗の導入やインターネットバンキングなど非対面チャンネルの強化で、店舗運営の効率化につなげる。

 1階の新店舗部分に窓口はなく、引き出しや振り込みなどはタブレットで受け付けする。店内には13台のカメラを置き、顧客の行動を分析して今後の店舗設計に落とし込む。ネットバンキングなどデジタル取引では、スマートフォンの操作に不慣れな客を5人の従業員がサポートする。

 堀直樹MUFG執行役専務は「インターネットとデジタルを融合した新しい銀行体験を提供したい」と力を込める。2023年度までに全国で70―100の次世代店舗を整備する計画。4月には心斎橋支店(大阪市中央区)を2号店としてリニューアルする。

 三菱UFJ銀は23年度までに窓口で行員が接客する既存店舗を現状の約500店から半減する方針を掲げる。来店者数が10年で4割減少する一方、ネットバンキングの利用者が5年で4割増えたことが背景にある。次世代店舗は「(顧客の)行動様式の急速な変化を考え、利便性と先進性の高いサービスを提供する」(堀執行役専務)ための橋頭堡(ほ)となる。

 超低金利の長期化や人口減少などを受け、店舗改革はメガバンク共通の課題だ。三井住友銀行は19年度までに全430店舗を次世代店舗に転換、みずほ銀行は20年度末までに国内の全拠点で銀行、信託、証券のサービスを一体で提供する。

 大量の人員を抱えながら全国に店舗網を構える従来の事業モデルは限界を迎えている。メガバンクの店舗戦略は先端技術を柔軟に取り込みつつ、時代に合わせた最適なインフラの在り方を再定義する時期に差し掛かっている。
(文=長塚崇寛)
日刊工業新聞2019年1月23日

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