市場規模が2兆円?「日本の工作機械はデジタル化で3兆-4兆円産業になる」

DMG森精機社長・森雅彦氏インタビュー

 ―2020年代半ばに日本の工作機械産業の市場規模が2兆円に拡大すると言い続けています。

 「富士登山なら今はまだ7合目くらい。25年までに日本製の工作機械の市場規模は2兆円ぐらいになる。30年ごろには自動化、そのためのIoT(モノのインターネット)化が進み、3兆―4兆円産業になると思う。今は変革のさなかだ」

 ―19年の世界経済はマイナス材料が散見されます。受注環境をどう見ていますか。

 「日本は前年比横ばい、米国が10%減、中国は18年末時点でピークだった17年の半分で、30%減になりそうだ。欧州は5%減、アジアが20%減くらい。全体だと10―20%減ほどだろう。(日本工作機械工業会の調査基準だと)1兆5000億円という感じ。一方、複合化や自動化の分は5―10%増。すると全体は1兆6000億円くらいのイメージだ」

 ―であれば、水準は依然として高いです。

 「国内を横ばいと見通すのは労働力不足のほか、設備老朽化で要求精度が出なくなってきており、更新せざるを得ない状況になったからだ。さらに世代交代がうまく進み、大企業の部課長クラス、中小規模の会社で経営者のバトンタッチが終わりつつある。そういう人たちがデジタル化の波にうまく乗っている。アナログ世代の完全リタイアと関連している。第3世代通信(3G)が4Gになり、これから5Gになればこの現象がさらに進む」

 ―自社のデジタル投資を強めています。機械メーカーとしてメカ開発を大切にしながらも、軸足をデジタル製品の開発に移しつつあるようです。

 「(予防保全・管理システム)『WERKBLiQ(ベルクブリック)』のIoT絡みで使っていくソフトウエア開発体制を強めたり、(ソフトや周辺機器を組み合わせて提供する)『テクノロジーサイクル』関連のエンジニアを増やしたり、プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)言語を『ラダー』から変えるなど開発スピードを上げている。そうした知的なソフトの生産が当社の『生産』と呼ぶものになってきた。開発の1000人のうち300人がデジタル関連だとしたら、500人くらいにする」

 ―成長が期待されるインドでは、すでに現地の自動車産業の主要全地域に販売網を構えています。次の一手は。

 「インドは良くなる。立型マシニングセンター(MC)の生産を検討している。輸出管理を完全に守り、年100―200台の生産を考えている」
(聞き手=編集委員・六笠友和)

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DMG森精機社長・森雅彦氏

日刊工業新聞2019年1月22日掲載

六笠 友和

六笠 友和
01月22日
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工作機械本来の性能という基礎力の向上と、IoTの時代に求められるデジタル製品の開発を同時進行させている。森社長の話し振りでは、力の入れようは“デジタル寄り”か。就労人口の減少をはじめ金属加工業の諸課題に対処するには、メカとデジタルの高度な融合がカギ。世界の優れた外部資源を吸収しながら、“光速”で融合を進めそうだ。

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