乗用車エンジンの「熱効率」、夢の50%に現実味

慶応大など、研究開発成果発表

 慶応義塾大学や京都大学、早稲田大学などの研究グループは16日、乗用車用エンジンで、燃料の全エネルギーをエンジンの仕事に変換する割合「熱効率」50%以上を達成したと発表した。燃料の燃焼の高効率化や機械摩擦損失の低減などを進め、ガソリンエンジンで同51・5%、ディーゼルエンジンで50・1%を実現した。内燃機関を搭載した自動車での環境負荷を減らし、温室効果ガスの削減に貢献できる。

 内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の一環として行われた。得られた知見や技術は、プログラムに参画する自動車メーカーの競争領域での開発研究や設計に取り込まれ、製品化に結びつくと期待される。

 現在の市場で乗用車用エンジンの熱効率は40%程度だが、プログラムを始めた2014年からわずか5年間で熱効率を50%以上に押し上げた。

 ガソリンエンジンの燃焼の高効率化では、超希薄燃焼場で安定着火を可能とする点火技術を開発。エネルギー損失の低い低温燃焼となる超希薄燃焼を実現した。

 またディーゼルエンジンの燃焼の高効率化では、燃料噴霧が空気を巻き込みながら最適に分散する燃料噴射技術を開発した。火炎が壁から離れて配置され、未燃燃料が燃え続く現象を減らせる高速空間燃焼を実現。熱効率の向上につながることを実証した。

 さらに両エンジンに共通する損失低減の実現のため、機械摩擦損失の低減技術や熱電変換システムの高効率化を進め、複数の技術を統合し熱効率50%以上を達成した。

 自動車の電動化が進むとされる40年でも、ハイブリッド車(HV)などを含む世界の全自動車保有台数の89%に内燃機関が搭載されると考えられている。1970年代に30%だった乗用車用エンジンの熱効率は40年以上かけてようやく40%に達したが、研究グループはわずか5年で50%を達成した。

日刊工業新聞2019年1月17日掲載

梶原 洵子

梶原 洵子
01月17日
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最近では、マツダの「スカイアクティブ-X」が発表されるなど、エンジンもまだまだ進化しています。

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