重電メーカー「もう一段の選択と集中が必要」(三菱電機社長)

杉山武史氏に聞く「切らなければならない事業が出てくる」

 好業績が続いていた電機各社が踊り場を迎えている。米中貿易戦争、スマートフォン需要の停滞など2018年度下期以降、世界経済の景色が一変した。これまでの前提が大きく変わる中、経営者は今後どのような成長戦略を描くのか。三菱電機の杉山武史社長に聞いた。

 ―世界経済に不透明感が漂っています。
 「19年度は18年度に比べると減速感が出てくるだろう。当社のFAも18年度下期になって受注が落ち込んできた。スマホや有機EL関連の上期に予定されていた投資案件が下期にずれ、そこから再度延期になったり、取りやめになったりしている。全体として米中の貿易摩擦が懸念から顕在に変わってきた」

 ―減速感が鮮明になれば、20年度の中期経営計画の達成も厳しくなります。売上高でも、あと2年で5000億円ほどの上積みが必要です。
 「年に2回(3月、9月)数値を見直しているが、直近(9月)では20年度目標(売上高5兆円、営業利益率8%)は事業部が計画値をやりきれば届く数字になっている。現時点で修正しなければならない状況ではない。ただ、(簡単に届く数字ではなく)世界経済の落ち込みや円高の過度な進行があれば達成できない可能性もある」

 ―IoT(モノのインターネット)サービスの競争が激化しています。どのように差別化しますか。
 「一つひとつの事業は小ぶりだが機器周りを着実に手がけるのが当社の特徴。業績の手堅さにもつながっている。他社に比べて情報通信は強くないが、そこに人を重点的に振り向けようとは思わない。機器の強さを生かしながら、今までにないソリューションを提供していく。プロジェクトを作って一気に進める会社も多いが、当社にはなじまない。事業部が連携しながらも、事業部制の強さを守っていきたい」

 ―国内外の重電メーカーは事業ポートフォリオの見直しを急ピッチで進めています。
 「20年程前から見直しを進めており、競合に比べるとかなり絞り込めている。ただ、20年度以降を見据えた場合、人が足りず、既存の人員をシフトする必要がある。もう一段の選択と集中が必要だ。付加価値の高い事業を強くするには、切らなければならない事業が出てくる。事業継続の判断基準を上げなければ、人が生まれない。19年度に決めることになる」

<関連記事>
これから重電メーカーはどうなるの?


栗下 直也

栗下 直也
01月12日
この記事のファシリテーター

会社の長所を失わずに新しい風を吹き込めるかが経営者の責務だろう。IoTの普及で部門間の垣根がなくなり、連携強化が課題だが、「事業部が弱くなっては元も子もない」と拙速なトップダウンでの改革とは距離を置く。就任9カ月、「変えてはいけないところと変えるところ」の線引きはできつつあるようだ。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。