中国企業と競り合ったABBの送配電事業買収、日立の勝算
IT活用で相乗効果
日立製作所は17日、スイスのABBの送配電や制御などのパワーグリッド事業を買収すると発表した。買収額は約7000億円で日立が手がけるM&A(合併・買収)では過去最大。送配電事業では世界首位に立つ。会見した東原敏昭社長は巨額買収については「グローバルリーダを獲得するには非常に良い買い物」と語った。
ABBが対象事業を分社化して日立が2020年前半をめどに約8割を出資する。この時点で7000億円規模を投じる。その後、出資比率を高めることで完全子会社にする方針だ。
買収対象部門の17年の売上高は約100億ドル、営業利益率は約9%。新興国を含め世界に顧客を持つが、ABBの中では相対的に利益率が低い。ABBは株主のファンドの意向もあり売却を決断したが、日立の電力・エネルギー事業(売上高約4500億円、営業利益率約6%)を大きく上回る。
日立にとって魅力的なのはABBの事業規模や販路だけではない。日立のITを組みあわせて相乗効果を狙うほか、技術基盤に厚みをもたせ、新興国の電力網整備や再生可能エネルギー需要を取り込む。中でも「交流送電より送電効率が高く、接続する系統に制約が少ない『自励式』直流送電の技術では他社を寄せ付けない」(国内重電幹部)。
関係者によると、今回の買収を巡っては中国国有企業の国家電網と競り合ったという。国家電網はブラジルの送配電最大手を買収するなど海外での足場固めを急ピッチに進める。東原社長は中国企業の台頭について「競争より協創によってグローバル展開した方がうまくいく」と述べた。
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これから重電メーカーはどうなるの?
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日刊工業新聞2018年12月18日