「カワイといえば楽器」だけじゃない!

防音室が各所で活躍

大学・学習塾のニーズ開拓 響かせる技術で差別化


 河合楽器製作所の子会社のカワイ音響システム(浜松市中区、高橋俊人社長、053・489・7601)は、自社開発の防音室の用途拡大を進めている。従来の楽器練習用などに加えて言語社会学研究の現場や電気製品の動作音測定検査用などに用途を拡大。「河合楽器製作所が創業100周年を迎える2027年3月期に、売上高を現状比54%増の10億円に引き上げたい」とする高橋社長に、開発の背景と今後の戦略を聞いた。

―防音室開発のきっかけは。

「『カワイ音楽教室』の防音室の開発チームとして『音響システム事業開発室』という部署が、82年に河合楽器製作所内に設立されたのがきっかけ。カワイ音響システムは、その部署が独立して89年に発足した。楽器メーカーが母体の企業として、ただ外部に音が漏れないようにするだけでなく、狭い防音室の中で残響音がなく、音を響かせるための設計にも力を注いでいる」

―現在の活用例は。

「音楽用途としては、音響の美しい広がりに焦点を当てた18年9月発売の防音室『リフレクス』が、ピアノ練習用などとして引き合いが強い。07年に発売した多目的防音室『サイエンスナサール』は音楽以外の分野で広く活用されている。例えば、大学の言語社会学の実験室で、音が脳に与える影響について測定する現場や、管楽器の製造現場のほか、家電メーカーで電気製品の動作音を調査する際にも使われている。マウスに大きな音を聞かせる難聴試験の実験装置として大学の医学部に納入したこともある」

―27年3月期の目標に向けての課題は。

「大学や研究所での活用に関しては、まだ防音室が導入されていない現場が多いので、積極的に拡販を進めていく必要がある。最近、特に注目するのは教育の現場だ。住宅街に立地し、周囲の騒音が気になる小規模な学習塾などでは、特にニーズが大きいのではないかと思っている。その他、マッサージなどのヒーリング分野にも、まだ市場開拓の余地があると見ている。必要に応じて外部企業との協業をしながら、防音室の既成概念を破るような質の良い音環境を、各分野に提供していきたい」
カワイ音響システム社長・高橋俊人氏

【チェックポイント/「楽器」イメージ打破し用途拡大】
「防音に関しては建材メーカーからもさまざまな製品が出ているが、私たちには彼らにできない『音を響かせる』というノウハウがある」と高橋社長は強調する。開発と製造の両機能が浜松市内の一拠点に集結しており、個々のニーズへの対応が早いことも強みとする。一方で思わぬネックとなるのが約90年にわたって積み上げた「カワイ」というブランドイメージ。「カワイといえば楽器」というイメージを打破し、大学や学習塾などの業界にどのように切り込むかが用途拡大のカギとなる。
(文=浜松・竹中初音)

日刊工業新聞2019年1月15日

  

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